前回の記事「インド人高度人材採用トレンド」では、日本企業におけるインド人採用の動向や市場背景についてご紹介しました。好評をいただいたことを受け、今回はさらに一歩踏み込んだ内容をお届けします。
※前回の記事はこちらから
インタビュー時期:2026年3月上旬
外国人採用・インド人採用をご検討中の企業様に向けて、弊社インド人材採用のスペシャリストであるニテシュ氏に直撃インタビューを実施しました。「インド人とはどんな人たちなのか?」という根本的な問いに対して、文化的背景から仕事観、採用時の注意点まで、現場のリアルな視点でお話しいただきました。
採用を検討する前に知っておきたい「インド人ならではの特徴」を、ぜひこのインタビューからご確認ください。
【登場人物】
- ニテシュ:リクルートメントアドバイザー / ジョブコンサルタント。インド人材採用のスペシャリスト。
- 大野:キャリアフライジャパン代表取締役。海外人材採用の専門家
- インタビュアー:キャリアフライジャパンマーケティング担当
はじめに

インタビュアー:
本日は、インド人材採用のスペシャリストであるニテシュと、海外人材採用に精通されている大野さんにお話を伺います。
最近、日本企業の間でもインド人採用への関心が高まっていますが、一方で文化や仕事観の違いに戸惑う声も聞かれます。
そこで今回は、インド人ならではの特徴や、採用時に日本企業が気をつけるべきポイントについて、ぜひ詳しくヒアリングさせてください。
大野:
よろしくお願いします。
以前「日本企業がインド人を採用する際には注意が必要な面もある」というお話をしましたが、今回はその深掘りですね。
ニテシュさんは、インド人であり弊社の「インド人材採用コンサル」もしている専門家なので、採用を検討されている企業様へ向けて、具体的なインド人の特徴などを3人でお話できればと思います。
ニテシュ:
よろしくお願いします。日本で働きたいインド人と日本企業の架け橋として、リアルな視点でお話しできればと思います。
インド人材の強み:圧倒的な「効率性」と「スピード感」

インタビュアー:
それでは早速。まず最初に、インド人が日本人と違って優れているところ、良い点はどのあたりにあると思いますか?
ニテシュ:
インド人は日本人と比べて、とても効率的です。
常に「仕事を終わらせること」を考えていますね。
何て言うんですかね、「直線的」にゴールを目指すイメージです。
プロセスよりもとにかく「時間」を気にします。プロセスに関係なく、仕事を終わらせることを常に考えていて、スピードを大切にしています。
大野:
確かに、そうですね。日本人はどちらかというと、「手順」や「プロセス」を非常に大切にする印象がありますね。
ニテシュ:
そうですね。良い悪いではなくて、日本ではプロセスが非常に重要で、ステップ1、ステップ2と順番に進めないといけない「ビジネス慣習」があります。
一方で、インドでは「これをやる必要がある」という目的さえあれば、プロセスはあまり気にしません。もちろん、ルールは守りますが、細かいプロセスに合理性がなければ、必須ではないという考え方をします。
当然ですが、法律は守ってやりますよ(笑)。
「ゴールに到達したければ、結果に近い所を探して、プロセスは気にしなくていい」。
個人に権限と裁量を与えて、合理的なやり方で仕事を終わらせる。手元にある情報やツールを駆使してゴールへ向かうというマインドを持っています。インド人は、そういう考え方をします。
逆境を工夫で乗り越える「ジュガードの精神」
大野:
それ、「ジュガードの精神」ですよね?
ニテシュ:
はい、その通りです。 基本的にはインドの人たちが持っている教えです。
「今あるリソースでちゃんと結果(リザルト)を出そう」という精神です。
ないものはない。あるもので目標達成を考えよ。ということですね。
大野:
例えば、目の前に携帯と水がある。
「この二つを使って一番効果的なやり方で目標達成をしよう」と考えるのが
ジュガードの精神なんですよね。
インタビュアー:
初めて知りました!確かに、ゴールに直線的な感じがしますね。「今あるもので何とかする」という、シンプルな考え方ですね。
インドの教育環境と海外志向の背景
インタビュアー:
今のお話を聞いていると、インドの教育環境はとっても良い感じがしましたが、いかがでしょうか?
ニテシュ:
インド人は、みんな、勉強を一生懸命やります。
インドの親はみんな、子どもに一生懸命勉強させて、いい大学に入ってほしいと思っています。
それはなぜか?良い仕事が少ないんです。人口が多いが、一定水準以上の報酬を得られる仕事につくのが非常に難しい実態があります。
それゆえ。とても良い教育を受けさせたいという気持ちが強いのです。勉強しなければ、良い仕事に就けない。シンプルなことです。勉強しなければ仕事もないんです。
大野:
「日本は多くの選択肢があって良いねー」と、ニテシュ、以前、言ってましたよね。
ニテシュ:
はい、本当に日本は良い国です。
もちろん、インドにも選択肢はあります。タクシー運転手、フルーツセラー(果物売り)等の選択肢もありますが、残念ながら、十分な報酬を得られない選択肢です。
繰り返しになりますが、インドでは、良い教育を受けた人材はたくさんいるけど、良い仕事が少ないんです。だから、インドから色々な国へ仕事を探しに行く。インド国内の給料では足りないからです。
インタビュアー:
なるほど、私も海外を旅していたので何となくイメージがつきます。ちなみに。どのような国が主な就業候補になるのでしょうか?
ニテシュ:
アメリカ、イギリス、ヨーロッパ、そしてカナダ。日本はまだ優先度が高くないですね。なぜなら、日本では、「日本語が必要」だから。だから第一優先はアメリカ。次にカナダ、イギリス、ロンドンなどの国々。アメリカやカナダでは、トラック運転手であってもインドより稼げます。ブルーカラーの仕事でも、インドよりずっと稼げるから、多くのインド人がそちらに行くんです。
大野:
あとは最近、サウジアラビアとかドバイも近いし報酬も高いから、ブルーカラーの人たちはそっちにも行きますよね。
日本の「平等性」とインドの「ステータス」による違い

ニテシュ:
インドではブルーカラーの仕事、例えば建設現場などは、尊重される仕事とみなされていないんです。そういう現実があるんです。
インタビュアー:
日本に来てみて、仕事に対する価値観の違いに驚くことはありましたか?
ニテシュ:
日本に来てとても驚いたのは「平等性」です。CEOも現場の人も同じ電車に乗る。同じコンビニで同じランチを食べる。コンビニの店員さんもCEOも同じ電車に乗っている。その平等性、ステータスによる差がない点は、社会としてとても素晴らしいと思う。インドにはそれがないんです。
大野:
インドにおいては、カースト制度も影響してるんですよね。
ニテシュ:
はい、それも影響していると思います。インドでは同じ人がブルーカラーの仕事をしていても、カナダに行って同じ仕事をすれば誰も見下さない。何の仕事をしているか言わなくていい。毎月お金を稼いで、家を建てれば尊敬される。インドにいる時に得られない尊敬が、外国に行くと得られる。それが動機の一つになっています。
大野:
日本はそういう「偏見」のようなものは比較的少ないですね。
インド人が本当に一生懸命勉強して「結果」を出そうとしている背景や、全世界にインド人がたくさんいる理由も理解できました。
インド人の特徴1:プロセス重視の日本、ゴール重視のインド
インタビュアー:
ありがとうございます。そういう背景で、「インド人は結果に直線的に動く」という長所につながっている訳ですね。
ニテシュ:
はい、その通りですね。インドのリアルを伝えてネガティブに捉えられたかもしれませんが、そういった背景もあり、インド人はとても効率的・効果的に仕事に取り組むことができるんだと思います。
インタビュアー:
背景が分かったので、もう少し詳しく、インド人と日本人の仕事の取組みの違いについて伺えます?
ニテシュ:
はい。例えばある仕事を1日でやるように言われたとします。
【日本では】
プロセスを考えたり、丁寧に実行するために時間がかかることがある。
【インドでは】
プロセスに縛られず柔軟に、結果に直線的にやる。
当然、プロセスを無視しろということではないです。多くの日本人は、プロセス遵守することとの方が優先度が高くなっているケースが少なくありません。
インド人の私からすると、時折「プロセスに対して柔軟であってほしい」と思うことがあります。
ゴールを達成することに集中して、その過程で合法的な方向であれば問題ない。インド人なら「6ヶ月でできることを、1ヶ月で完了」することもある。
大野:
「プロセスが何でもいいわけじゃないけど、法律を阻害しないやり方で、目の前にあるもので工夫してやります」というのがインド人のやり方ですよね。決してどちらにも良い面、悪い面があるのが前提ですよね。
ニテシュ:
まさにその通りで、良い悪いではなく、その差異を理解することが重要だと思っています。
インド人ITエンジニアが技術テストで苦戦する理由
大野:
今の話を象徴するような面白い話があります。
当社のクライアントからよく言われることがあります。
「インドのエンジニアって一次審査は通過するんですけど、その後のテクニカルテストでほぼ落ちるんですよ」と。
実は、理由が共通であって、「コーディングの書き方がぐちゃぐちゃ」だと。プロセスを気にしないところが出てしまって、誰が見ても分かるようなプログラムになっていない。でも、しっかり表示されていたり、機能はしている。ただ、それがインドのエンジニアが落ちる理由なんですよ。
インタビュアー:
なるほど、スピードや結果を優先するあまり、日本企業が求める「保守性の高さ」や「プロセスの美しさ」と乖離してしまうのですね。
インド人の特徴2:多様な文化への適応力と「学び」への自信
インタビュアー:
ありがとうございます。ここまでの話を通して、インド人と日本人のビジネス慣習の差異を理解することができましたが、そのほか、何かインド人の特徴はありますか?
ニテシュ:
はい、2番目のインド人の特徴について話をさせてください。
インドは非常に大きな国で、27の公用語、それ以外も含めると100以上の言語がある。
宗教も多く、食文化も地域によって全然違う。
インドは1つの国だけど、たくさんの文化があるんです。
インタビュアー:
え!?そんなにあるんですか?
大野:
日本も北海道と沖縄では文化や話す言葉は違いますけど、そこまでは違わないというか、伝わると思うんですよね、私も最初はびっくりしましたが、本当に「多様」の一言です。
ニテシュ:
「出身地エリアではないエリアに行くと、言葉が通じない」など、よくあることです。笑
そういったこともあって、インド人は「通じない」とか「多様である」ということに非常に慣れています。そういったこともあって、インド人はどこの国へ行っても適応しやすいと言えます。
あらゆる文化に対してオープンなんです。インドは多様な文化を尊重します。相手がどんな宗教であっても尊重する。お互いの食べ物を好きになれるし、お祭りを一緒に祝うことができます。
インタビュアー:
食習慣については、日本で苦労されることはありませんか?
ニテシュ:
ベジタリアンには、ノンベジタリアンの食べ物の中から自分の食事を見つけるのが少し大変だけど、それが唯一の問題ですね。
大野:
そうですよね、日本ですと、ベジタリアンが来ると対応できないレストランがまだ多いですよね。
インド人の特徴3:「成長への意欲」と自信の源泉
インタビュアー:
ありがとうございます。まだお話したい特徴はありますか?
ニテシュ:
あります!まだまだありますが、これで最後です!
3番目の特徴は、インド人はとても学習スピードが早いということです。
なぜなら、自信があるからです。知らなくても「学んでやります」と言える強さがあります。
多くのインド人は、この自信を持っています。たぶん7‐8割のインド人は自信家だと思います。
大野:
たしかに、みんなそうやって言いますよね。その自信はどこから来るんでしょうか。
ニテシュ:
どこの国も同じかもしれませんが富裕層でない人の方が多いんですが、彼らは、とにかく、自分と家族の安全のために頑張るんです。
「頑張って大きくなって、家族のためにお金を稼ぐ」という夢を持つんです。
インド人の多くが、このような夢を持っていて、夢がある人は自信を持って何でもやるんです。
大野:
なるほど。インド人の方って、とりあえず「できます!」って言いますよね?そういう理由なんですね。インドに限らず、発展途上国は同様な傾向があるかと思います。
ニテシュ:
そう思います。インドは、長い間、発展途上国の状態で、もちろん、今も、その状態を脱しているとは言えません。貧富の差が大きいのが実態です。とてつもない富裕層がいる一方で、多くの人はまだまだ稼げていないのが実態です。。
大野:
超富裕層は多分「0.1%」とかその程度ですよね?富裕層以外の人たちのメンタリティは、「ここから成長してたくさん稼ぐぞ!」というメンタリティですよね。
おそらく、日本もそういう時代があったはずで、その時の日本人も「(なんでも)できる!」って言っていたはずなんです。私個人的な所感としては、「インドが…」というより、国の発展の流れによるものだと思いますね。
ニテシュ:
そう思います。インド人も他の発展途上国の皆様と同様に、「意欲・夢があれば何でも学べる」という傾向です。
とはいえ、インド人はそういう人が多いと思います。
インド人採用で企業が注意すべきチェックポイント

インタビュアー:
日本人では、なかなか分かりえない文化的な背景ですね。一方で、ニテシュさんから見て、インド人採用で注意すべきことはありますか?
ニテシュ:
「バックグラウンドチェック」をすることは重要です。これはインド人に限らずですが、本当のことを言っているかどうか確認することは、必ずすべきです。
私たちが実践しているのは、SNSのチェックはもちろんですが、前の会社に電話して「この方はどんな方でしたか?」と聞くなどをしております。
インタビュアー:
それは日本人の採用でも同じですね。
ニテシュ:
今、キャリアフライジャパンでリクルートメントアドバイザーとして働いています。
ITエンジニアを中心に日本企業とマッチングをしています。
ジョブディスクリプション(JD)とプロフィールをマッチさせて提案するのですが、そのうえで、人材のバックグラウンドチェックはとても重要だと思っています。
インタビュアー:
たしかに、バックグラウンドチェック、重要ですね。
ニテシュ:
はい、バックグラウンドチェックは非常に重要ですが、他にも大事な要素があります。
当たり前ですが、「アティチュード(態度)」、「やる気」のチェックです。
日本企業は簡単に解雇できないし、しないので、長く働きたいと思ってくれる人を求めているケースが多いです。
そのため、日本で長くキャリアを積みたい人かどうかを見極めるのも重要だと思っています。
日本企業へのメッセージ:多様性を活かすマネジメント
インタビュアー:
それでは最後に、日本企業へのメッセージをお願いできますか?
ニテシュ:
もっともっと、インド人の採用を検討してほしいです。とくに、成長意欲の高い企業様には検討していただけたらうれしいです。採用をするか否かは、人とのマッチング次第と思うのですが、検討はしていただきたいです。
前述の通り、目標達成意欲が高く、スピード感をもって業務に取り組めるからです。
あと、一つだけ、お願いですが…
少しだけ、外国人に対して寛容(柔軟)であってほしい、と思います。
日本に来るインド人は日本の文化にフィットしようと努力しているので、日本企業も、インド人の文化や背景を組織として理解していただけたら嬉しいです。そうすることで、ベストなパフォーマンスを発揮できるようになり、事業にインパクトを残せるようになると思います。
大野:
本当にそうですね、インド人材の活用を成功させている企業の多くは、日本人人材の育成にも成功している企業です。多様性を認め、いろいろなバックグラウンドがある人間が活躍できる組織としての土壌を作っていただくことが重要だと私も考えます。
あと、ニテシュさんも言ってましたが、ぜひ、インド人活用の検討、よろしくお願いいたします!笑
インタビュアー:
お二人とも、貴重なお話ありがとうございました!
参考URL:
外国籍人材紹介サービス https://cf-japan.com/foreign_nationality_staffing/
外国籍エンジニア採用代行サービス -KUNOICHI- https://cf-japan.com/kunoichi/
外国進出支援サービス https://cf-japan.com/overseas_expansion/
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