左:田中佐和さん 右:田中秀明さん
大阪府寝屋川市に本社を構え、微小部品製造業を手がける日本マイクロMIMホールディングス。アメリカとドイツに法人拠点を置き、正社員として6名の外国籍人材を雇用しています。
今回は、日本マイクロMIMの田中秀明様と田中佐和様に、外国人採用において心がけていることや課題解決の考え方、今後の展望について、キャリアフライジャパン代表取締役の大野がお話を伺いました。
大野:日本マイクロMIMホールディングスさんは、微小部品の研究開発や製造を手掛けられている企業です。海外展開の広がりを見据えて事業を拡大されているところですが、今現在、御社において積極的に外国人を採用している理由はどういったところなのでしょうか?
佐和さん:実は、会社の採用方針として、会社に外国人採用枠があるわけではないんです。外国籍の方たちとお会いして話した上で、人柄が素晴らしく仕事のスキルのある方を採用している、というのが実態です。キャリアフライが紹介してくれる人材が会社にフィットしてるから、採用される率としてダントツに高いというのは、ありますね。
大野:基本的に国籍は問わず、一緒に事業を引っ張れる人なら積極的に採用している、ということでしょうか?
秀明さん:海外営業の責任者の立場としては、今後は海外展開を加速化していこうと思っています。そうなるとやはり共通言語は英語。「言語力」という面においても日本だけに目を向けるより、外国人の方にも目を向けて行きたいという気持ちがあります。
また、今はドイツとアメリカに法人拠点があります。その国ならではの文化や働き方、法律も違うので、多様な価値観を全社的に浸透させていったほうが、将来的に仕事を進めやすいと考えています。今後、グローバル化を進めていくなかで、日本で働いている日本人の働き手にも、積極的に外国人の方と関わって、色々な文化を知ってもらいたいです。

大野:海外展開はもともと検討されていて、その経営戦略は今後も変わらず推し進めて行くんでしょうか?
秀明さん:もちろんです。フェーズフェーズでステップはありますが、目標としては世界の各国で日本以上の規模のビジネスをやっていくことを視野に入れています。今のところ日本の方が売り上げ比率は高いですが、以前キャリアフライで紹介してもらったアンシュルさんの活躍で、海外も増えて来ています。数パーセントから1割くらいに増加しました。
求めるのは日本の文化への寛容さと事業への興味関心
大野:「日本語能力」以上に重視している資質やスキルは何ですか?
佐和さん:海外での成長を目指してるとはいえ、まだまだ日本企業の風土が色濃く残った会社なので、その社風のなかでもうまく外のメンバーと馴染めるか?という点を重視しています。フラットな会社なので、突出するタイプよりはチームワークのなかで働ける人、周りへの配慮や日本的な考え方を少なくとも嫌がらない人、というところは見させていただいていますね。
大野:暖かくて、遠慮のいらない何でも言い合える社風だと、ニシカントさんもおっしゃっていました。外国人が多くを学べる環境で、みんながそれを支援してくれるような環境だと。

佐和さん:大阪の会社ではあるので、関西らしい些細なやりとりや冗談をある程度受け入れられるよ、という寛容な方が馴染めるかなとは思いますね。ニシカントさんは勉強家で努力家なので、期待して色々な課題をやってもらったり、日本語も勉強してもらっています。
秀明さん:技術者は日本人ばかりなので、ある程度の日本語力がないと厳しいとは思います。あとは、私たちがやっているものづくりにどれだけ興味を持ってくれているか、面白いと思ってくれているかどうかを重視していますね。技術への関心はもちろん、日本の技術者ともっとコミュニケーションをとりたいと思えば日本語も上達していきます。
大野:外国籍社員の流入によって、日本人社員のマインドセットやコミュニケーションにどのようなポジティブな「化学反応」が起きましたか?
佐和さん:多様な国籍の方がいることで、休憩時間に「それぞれの国ではどんな感じなの?」という感じの雑談が増えました。グローバルな視点は、そういう身近でカジュアルな会話からも生まれてくると思っています。また、外国人スタッフの日本語力に合わせて業務内容を説明するときにはより丁寧に説明することになるので、日本人メンバーも頭の中が整理されるようなことは起きているようですね。
文化の違いを理解して、コミュニケーションは丁寧に
大野:マネジメントの壁はありますか?
秀明さん:働き方のスタンスはどうしても日本人とは違うと感じます。日本人スタッフと外国人スタッフが一緒に仕事することになったとき、外国人スタッフの主張がすごいな…と思うことはありますね。日本では残業は美徳という考え方がありますが、海外では違いますし。

秀明さん:また、なるべく対面でやりとりすることで、課題を解決していこうとしています。メールだと一方的なコミュニケーションになり、伝わりかたが変わってしまうことがあるので、顔を見てフェイス・トゥ・フェイスで対話したほうがいいし、それを心がけています。国籍は関係なく、透明性の高い公正な組織運営で評価をしていくために、今は評価制度を整えているところですね。
大野:外国籍人材が加わったことで、具体的に「事業のスピード」「技術革新」「海外展開」などの面で、どのような数字や成果が現れていますか?
佐和さん:売り上げに関しては明らかに加速していて、10倍ぐらいになっています。ローレンスさんやニシカントさんは営業ではありませんが、業務に対する理解深度が深く、全社で使える帳票の作成や業務負荷を可視化するためのシステム構築などで貢献してくれています。たとえば、品質保証に関する資料作成や新しい技術・トピックを提供するのはバックオフィスのスタッフたちで、それを使って営業するのはアンシュルさんという感じでそれぞれの活躍の場があります。

一歩踏み出して成功事例をつくれば会社の雰囲気が変化する
大野:「外国籍人材を採用したいけれど不安」と足踏みしている経営者に向けて、ロールモデル企業のリーダーとしてアドバイスをお願いします。
佐和さん:意識して外国籍人材を…というスタートではありませんでしたが、結果的に私たちの会社に海外展開に関する意識変化をもたらしてくれました。外国籍の方が入ってくることで「海外展開を目指している会社だよ」ということを日本人の従業員も感じ取れるようになり、意識醸成ができました。会話のバラエティが豊かになり、公私ともに色々な考え方や話のフックが広がるという意味では、従業員の人としての経験値が上がるので、結果的に会社にとってもメリットがあります。
大野:トップダウンで「海外にいくぞ!」よりも、外国籍人材採用することで気づいたらダイバーシティになっていた。結果的に、そういう方向に向かっているのは良いですよね。
秀明さん:8年前、初めて外国人スタッフを受け入れた当初は海外へのアレルギーがありましたし、国内のわかる言語で進めるほうがラクだという気持ちもありました。その流れを大きく変えてくれたのが、キャリアフライジャパンに紹介してもらった営業のアンシュルさんです。外国人スタッフが入ってきて、目に見える成果を挙げた、という事実が会社の空気を変えました。
一歩踏み出せない会社さんも、アンシュルさんのような人を迎え入れることができれば、社内の景色が一変すると思います。まずは一歩踏み出して成果をひとつ作る、というのをやってほしいですね。
大野:良い成功体験を作り、ポジティブな空気を醸成しながら推し進めていく、というのがポイントかもしれませんね。ありがとうございました!
外国籍人材採用のロールモデル アンシュルさんへのインタビュー

アンシュル・チャブラさん(日本マイクロMIMホールディングス 米国オフィス 海外事業営業担当)
インド出身。デリー大学で経済学を学び、最近はムンバイの大学でMBAを取得。非技術的なビジネス経験とMBAの学習が、市場機会やプロジェクトの評価に役立つと考えている。
日本マイクロMIMホールディングスの田中秀明様と田中佐和様のインタビューに登場し、外国籍人材採用のロールモデルになっているのが、インド出身のアンシュル・チャブラさんです。アンシュルさんは、横浜の大手鉄道会社で戦略立案と新規事業開発に約5年間従事した後、2023年にマイクロMIMに入社しました。2023年にアンシュルさんが入社し、米国オフィスを設立して以降、同社の海外事業は安定した収益源を生み出しています。
彼にとってマイクロMIMへの転職は大きな変化をもたらしたようです。入社した当時の話や今の仕事のやりがい、これからの展望についてお話いただきました。
日本マイクロMIMへの入社のきっかけ
マイクロMIMでは、前職で企業戦略、新規事業開発、M&Aに注力した経験を生かして、事業の分析・企画から、積極的な事業構築・拡大に尽力しています。科学者によって設立された技術力の高い企業であるという特性を生かし、ニッチな日本の技術を世界市場に展開できると考えての転職でした。
いわゆる大企業から小さな組織への転職だったので、入社当時は評価制度や従業員の意識に関する不安や、顧客やエンジニアとスムーズなコミュニケーションをとるための専門知識の必要性を感じました。ですが、大阪の工場でエンジニアリング部門や製造部門の同僚と多くの時間を過ごしたことで、このような不安は払拭されています。
オープンで心地よいカルチャー
働いてみてわかったのですが、マイクロMIMの企業カルチャーはとてもオープンなんです。そのオープンさは、代表直下で働くニシカント氏をはじめとする他の社員からも好意的に評価されています。もちろん、組織なので階層や役職は存在しますが、基本的にはフレンドリーでフラットな雰囲気です。また、挑戦したいことがあったときに手を挙げれば、チャレンジの機会を得ることもできます。過去には、短期的な収益性よりも長期的な顧客価値と関係を優先するという私の提案が受け入れられ、それが会社の利益率に対するアプローチの変化につながり、多くの感謝と高い評価を受けることもできました。今後、私たちの技術をグローバルに展開するにはさらに人材が必要です。組織の成長の課程で社員が同じ方向を向けるかどうか、そして平等な機会を得られるかどうかに課題感を感じています。
今後の目標と展望
これからの中期的な目標は、海外事業の売上高を国内売上高と同じレベルにしていくことです。米国オフィスで働く自分の役割はこの目標とも合致しており、大きなやりがいを感じます。今は、顧客と競合他社の両方から肯定的なフィードバックを得ているので、米国には私たちの技術に対する大きなニーズとビジネスチャンスがあると考えています。
日本マイクロMIMで働く外国籍スタッフの座談会記事「外国人の努力と実力が正当に評価され、キャリアアップできる職場」はこちら