株式会社Diverta 社長インタビュー
CareerFly羽二生(以下羽二生):今日は、進化を続けるクラウドCMS(RCMS)の株式会社Diverta 代表加藤さんに、お話をお伺いします。
よろしくお願いいたします!
Diverta加藤氏(以下加藤氏):よろしくお願いします。
羽二生:御社のホームページにはたくさんQ&Aがありますが、それによると加藤さんはブラジル生まれでいらっしゃるそうですね。
加藤氏:はい。両親の仕事の関係でリオ・デ・ジャネイロに5歳までいました。砂浜がとっても熱くて、裸足では歩けないということは覚えていますが、それ以外は実はあまり記憶がありません。(笑)
羽二生:そうなんですね!Divertaの社名も「楽しい」というポルトガル語に由来するのですね。
加藤氏:そうです。ブラジルにはすごく親近感やシンパシーを感じています。小さい頃は、ブラジルから来たということで、いじめられていたようなのですが、私自身はブラジルから来たことを自慢に思っていたので、そのことに気づきませんでした。(笑)ブラジルは、アイデンティティの一つです。
羽二生:なるほど!ポジティブ!(笑)
もう一つ、加藤さんのアイデンディティといえば、ラグビーでしょうか?
御社のRCMSは早稲田大学ラグビー部時代に作成した部活HPが原点ですね。
加藤氏:たまたま誘われて入ったラグビーは、中学から始めました。そのまま大学まで、ラグビーを続けました。
羽二生:運命の出会いですね!ラグビーのどのようなところがお好きなんですか?
加藤氏:今思うと色々あります。当時は単純に体を使ってぶつかったりぶつけたり、パスすることが楽しかったのと、それぞれの強みや特色をうまく使ってプレーできる部分が楽しかったです。人によって得意不得意がありますが、それを活かせるというか。例えば、僕はそんなに足は速くなかったですが、色々と工夫をすることを武器としていました。
羽二生:多様性が活きる競技ですね!ラグビーをする一方、HP制作もスタートされました。もともとプログラミングはお得意だったのでしょうか?
加藤氏:いいえ。理工学部で機械工学専攻だったこと、しかも学校の成績は本当にやばかったんです。(笑)色々興味があって、いろんなことをしていたんですけど、あまり授業には行ってなかったです。
独学で始めたプログラミング力を利用して、初代RCMSを製作
羽二生:え!ではプログラミングは独学ですか?
加藤氏:独学ですね。実は、お金がいいので引越しのアルバイトを探していたんです。そうしたら、その求人の横に、時給3000円と書かれたアルバイトがあって。それがプログラミングのバイトだったんです。どうやら部屋で座ってできる仕事らしく、なんじゃこりゃ!と思いました。(笑)
引越しバイトは8時間で1万円ですが、こちらのバイトなら4時間も座っていれば1万円稼げます。何もプログラミングはやったことがなかったですが、「Excel」という聞いたことのある単語が求人票にあったので、とりあえず電話をかけて面接を調整して、本屋に直行してVBAの本を書いました。そこから少し独学して仕事に行ったら、意外と褒められたんですね。
そこから才能があるかも?!と思いまして、楽しくバイトを続けました。
羽二生:すごい行動力とセンスですね!その基礎があってこそラグビー部のHPが出来上がったんですね。
加藤氏:それもあります。1997年当時は、スポーツチームがHPを持つのが当たり前ではありませんでした。「メールアドレスとは?」みたいなことを大学1年生が習うような時代でした。
そこで、同期とHPを作ろうとなり、まずはラグビー部の同学年のHPを作りました。そうしたら周りの学年の分も自分達で作るようになり、同部活内HPが乱立しました。私が卒業する時には、今後HP運用をどうしていくかの課題があり、それならば部として一つオフィシャルなものを作ろうということになり、僕が作ることになりました。
羽二生:なるほど。今の早稲田大学ラグビー部のHPも、加藤さんが作成されたものですか?
加藤氏:デザイン部分は違いますけど、裏のシステムはそうです。
100年分ぐらいの選手の情報もあります。
羽二生:(選手プロフィールを見ながら)加藤さん82年目の部員でいらっしゃるんですね!そのほかの部員の学部を見ると、理系は少なかったんですね。
加藤氏:全然いないですよ。学年に1〜2人です。ですのでHPのシステム部分はほぼ一人でやりました。サーバーも自分で管理して、当時はASPで今でいうSaaSという形態を作りました。
そうしたら他のラグビー部や他競技の部活もHPを作りたいという要望をいただくようになったので、そちらも作り始めました。これがRCMSの原点です。
企業立ち上げや営業など幅広く経験。その上でCMSに集中するために独立
羽二生:素晴らしい。アルバイト求人を見つけて、プログラミングを始めてからすっかりITエンジニアですね。
加藤氏:そうですね。アルバイトも、その後4年生になると授業がほとんどなかったので、友人に誘われて一休.comの立ち上げの手伝いをしました。
立ち上げだったので、Webシステムを作るのはもちろんですが、アルバイトなのにホテルの支配人に電話をかけたり、なんでもやりました。(笑)
当時は11時以降は通信料金が定額だったので、夜11時からが本番!という生活をしていました。
その後ソフトバンクの方に声をかけていただいて、アルバイト入社をし、卒業の4ヶ月後くらいに社員になりました。新卒の年齢ですが中途入社したので、当時、社内の同期で一番給与の高いと言われました。(笑)
羽二生:そうですよね、もう仕事を入社前からしていらっしゃったんですものね。(笑)起業については、その当時から考えていらっしゃったのですか?
加藤氏:いや、そうでもないです。当時の上司が元リクルート系の方で、営業時代の話をやたら自慢されるものだから、面白いのかな?将来役に立つかなって思って営業をやってみたこともありました。(笑)
羽二生:幅広い!(笑)ではどうして起業に踏み切られたのですか?
加藤氏:実は、ずっとプライベートでスポーツチーム向けでRCMSを作ってたんです。これに集中したいなと思い、会社に事業化を相談したところ、いい返事がなかったので、起業しました。あとは、これまで社内の集まりがあると、だいたい私が最年少だったのです。とても勉強になりました。でも、入社して何年かすると当たり前になってくる。次に進むタイミングかなと思いました。
羽二生:なるほどですね。ソフトバンク社勿体無いですね・・・(笑)
企業初期はどのような様子だったのでしょうか。
加藤氏:人を巻き込んで何かをすることが、そんなに得意ではないので、とりあえず一人で始めました。そのあと紹介や知り合いがだんだん社員になって、人が増えていきました。
初めて採用の外国籍社員は日本語力ゼロ!日本人が英語が話せれば問題ない
羽二生:そうだったのですね。ちなみに、現在は複数人外国籍の方も社員としていらっしゃいますが、最初の外国籍社員はどんな方でしたか?
加藤氏:4〜5年前に、学生インターンとして迎えたのが最初の外国籍社員です。3人受け入れた中で、1名採用しました。その後、その子の知り合いが入社し、だんだんと外国籍社員の採用も増えました。
日本語が全く話せない方だったのですが、一緒に仕事をすることで、言語が通じなくてもなんとなく仕事ができることがわかりました。それから、優秀であれば英語が話せれば誰でも採用するという方針にしました。
羽二生:最初の外国籍社員の方が日本語を話せないケースは珍しいですね!当時社内から反発や不安の声はありませんでしたか?
加藤氏:ありました。でも、反発されても仕方がないですよね。(笑)IT業界は、もうグローバルに行かないと未来はありません。それは社内でもずっと言っていました。会社がグローバルにいきたいんだから、こちら側(日本人)がグローバルに行く。
だから、外国籍人材を日本人に合わせるのではなく、日本人が外国籍人材に合わせていけばいいと思います。社内もそのような仕組みにしています。
羽二生:具体的にはどのような仕組みですか?
加藤氏:まず、日本人への英語教育です。例えば、去年は社員の2/3に対して、半年間で何十時間もアプリやSkypeなどを利用して、英語を勉強しなければいけない、英語マラソンのような教育を行いました。また、実は英語ができるような「隠れ英語喋れる人」がいるんですよ。そのような人たちに積極的に外国籍メンバーとのコミュニケーションを促しています。毎週、就業時間内に外国籍メンバーと経費でお茶するEnglish Cafeというのもやっています。私はプライベートレッスンを週3〜4日朝から入れています。おかげで早起きにもなりました。(笑)
優秀な外国籍人材を採用していますので、様々な知識や知見を持つ外国籍メンバーに対して日本人メンバーが質問をしたり、関わることがインセンティブになる環境になっています。このようにして、社内のコミュニケーションが英語でできるような仕組みを作っています。
弊社では、英語が喋れることがいいことなんです。日本語が喋れないことは問題ないです。
言語で苦労されている企業は、外国籍人材を安い労働力として考えている企業が多いのではないでしょうか。外国籍の方が、日本人を手伝うというような感覚で雇用しているならば、そもそも日本の給与レベルは世界的に高いわけでないため、いい人は来ないです。
外国籍社員も同じ「人」。だからこそ企業理念とコミュニケーションは最重要事項
羽二生:確かに。会社がグローバルにいきたいのであれば、企業側が英語を話せて外国籍社員と仕事ができる環境を作る方が理にかないます。とはいえ、外国籍社員と働くならではの大変だったことはありますか?
加藤氏:外国籍社員も同じ人なので、基本的にはそんなに大変じゃないです。よく言われる、長期休暇の問題とかも、数ヶ月前から予定を提示してもらえます。産休育休と同じです。事前にお互いにタスクやスケジュール調整ができるため、全く問題ないです。
強いて言えば、これらのことが分かる前はコミュニケーションが大変だったことはあります。以前、インドにオフショアをお願いした時は、頼み方がよくわからなかったこともあり、依頼したことと違うものが出来上がったことがありました。外国籍社員でも能力はあるのに、満足のいくアウトプットが上がってこなかったこともあります。実際本人に、なぜこんなソースコード書いたの?と聞いたことがあります。すると、前職では相手が求めるものをできるだけ早く提供することが一番大事だったので、このように書きました、と回答がありました。Divertaでは、早さよりも相手にわかりやすく綺麗なコードを書くことが大事なんだと伝えると、それから綺麗なコードが上がってきました。
この経験から、文化とかではなくて単純に「コミュニケーション」の問題なんだとわかりました。そこからコミュニケーションを大切にしたところ、外国籍社員のアウトプットがとても良くなりました。
羽二生:コミュニケーションのコツはなんですか?
加藤氏:まずは、諦めないこと。同じ人であるということを前提に、諦めずに伝えることです。
あとは、絵を書く。(笑)要は、言葉だけで伝えるのはかなり難しいことです。日本人同士でも伝わらないこともある。なので、テキストだけではなくて、絵でも伝えることで、なるべく同じものを頭の中にイメージできるようにしています。
羽二生:なるほど。ビジュアルでの共有はシンプル且つ確実です。
加藤氏:とは言え、コミュニケーションは大切です。弊社では読解力テストを採用過程に導入しています。どれだけスキルがあっても、どれだけいいマインドを持っていても、理解をしてもらえないと、どうしようもないからです。
CareerFlyビジョングローバルマーケット
「北米で勝ちに行く!」
羽二生:言語レベルではないコミュニケーション力は大切ですね。
今後は、世界中から採用している優秀な社員とともに、どのようなCareerFlyをお考えですか?
加藤氏:まずは、北米で勝つということを目標にしています。これは、RCMSはもちろんですが、年内リリース予定のAIサービスも同じくです。マーケットがとにかく大きいグローバルで勝てるように、サービスもグローバル対応できるようにしています。
羽二生:貴社人材採用に関して今後どのようにしていく予定ですか?
加藤氏:今後も優秀な方をどんどん採用していきたいと思っています。会社なので、しっかり一緒に楽しく「仕事」ができればいいと思っています。今後も国籍関係なく採用することに変わりはないですが、重要なのは企業文化・理念を理解してもらえているかどうかです。その点は、これまで以上に最重要基準としています。そのために「Diverta Way」を作り、理念浸透のために活用しています。
よく外国籍社員は日本文化を理解してくれないというような話がありますが、日本文化なんて実際には誰も明文化できないと思います。企業文化と日本文化がごちゃ混ぜになっているケースが多い。
どのような文化背景を持った人でも、企業文化と日本文化をきちんと切り分けて、企業文化を共有できれば、一緒にうまく仕事はできます。
羽二生:確かに、日本文化と企業文化は混ざっているケースが多いかもしれません・・・。ちなみに御社の企業文化である「Diverta Way」 の中には、「楽しい」と「正しい」が中心にあるような印象がありますが、それぞれどのような思いでWayに入れたのでしょうか?
加藤氏:「楽しい」は、「知的好奇心を満たす」ことと定義づけています。私自身、仕事が楽しいので、それはなぜかと考えた時に、知らないことを知るということが楽しいのだと感じました。ただみんなでワイワイ盛り上がることは、弊社では「楽しい」ではないです。ラグビー部の時もそれを感じていました。サークル活動のラグビーもやったことがあるのですが、体育会でやるような、ラグビーに真剣に取り組んだ先にある様々な発見の方が楽しかったです。
「正しい」は、仕事をしていると、利益を優先してフェアでないことをする人や会社などが見られました。私はそういう人や会社にはなりたくないと、常に感じていました。逆に正しく仕事をすることを宣言すると、相手とのコミュニケーションはスムーズになり、不必要な業務も減り、利益も出やすくなるし、いいことしかないです。
また、Googleの企業理念の「Do the right thing」が好きだったので、それもあって「正しい」を企業理念に入れました。
外国籍採用に何の問題があるか?やらない理由がわからない
羽二生:正しく楽しく、仕事をする。とてもシンプルでわかりやすいです!では最後に、外国籍人材採用をお考えの企業の皆様に、メッセージをお願いします!
加藤氏:外国籍人材採用、いつやるの?今でしょ!です。(笑)
外国籍人材採用に必要なのは、経営者が、そういうものだと腹をくくってやることが一番重要です。
日本で良い人材を高い採用費を払って探すのではなく、世界という母数70倍の採用プールからもっと良い人材を雇い、浮いたお金で日本人の英語教育をして、グローバル対応ができる会社を作ることができることに、何の問題があるのでしょうか?
私にとってはむしろ外国籍人材を採用しない理由がわからないです。
羽二生:もはや、やる・やらないの問題ではないですね!コミュニケーションを諦めず、一つの企業文化を共有しながら仕事ができれば、どんな企業でも外国籍の方と一緒にCareerFlyすることが可能ということを勉強させていただきました。ありがとうございました。
今後も、優秀な人材を世界中から獲得してください!弊社もぜひお手伝いさせていただきます。
株式会社Diverta代表取締役加藤氏とCareerFly羽二生知美
Diverta 代表取締役 加藤健太氏にインタビュー
1976年生まれ。早稲田大学理工学部機械工学科卒業。
大学在学中、「一休.com【東証一部コード:2450】」の創業メンバーとして参画。2000年、大学卒業後ソフトバンクグループに入社。
インターネット黎明期に、カー用品販売サイトの企画・構築・運営をはじめ、転職アドバイザーマッチングサイトの戦略・企画・システム設計・開発に携わる。2004年に同社を退社し、個人事業主として活動を開始。翌2005年にディバータを設立、代表取締役に就任。