3年間勤め上げ目指すキャリアへつなげる

国籍や性別なく、その人自身の良さを見極める、エイブル社の採用

CareerFly 羽二生知美 (以下 羽二生):本日は、株式会社エイブル エイブル国際エリア エリアマネージャー兼国際センター店長のTiange Fuさんに、日本でのキャリアフライ (飛躍)をテーマにお話を伺います。また、株式会社エイブルホールディングス執行役員 兼 株式会社エイブル 取締役人事本部長 渡邉公司様にも、ご参加いただきます。本日はよろしくお願いいたします。
Fuさんは、2015年から国際センター店の初代店長として赴任されました。それまでの経緯をまずお聞かせいただけますか?

株式会社エイブル エイブル国際エリア エリアマネージャー兼国際センター店長 Tiange Fu 様 (以下、Fu氏):2002年、私が17歳の頃に来日しました。大学は山口大学に進学し、日本で就職活動を行いました。当時、福岡で開催された就職イベントで、弊社が出店していたことがきっかけで、選考を受けました。入社後、インバウンド需要に向けて、外国籍顧客向けの店舗を立ち上げる機会があり、運よく初代店長のポジションを任せていただきました。

羽二生:ありがとうございます。ちなみに、貴社では積極的に外国籍の方を採用されていたのですか?

株式会社エイブルホールディングス執行役員 兼 株式会社エイブル 取締役人事本部長の渡邉公司様(以下、渡邉氏):弊社の採用ポリシーは、人柄を評価することです。国籍・性別などを含むバックグラウンドに関係なく、その人となりを評価し採用しています。弊ビジネスを推進する社員の最重要素質は、お客様一人ひとりに真摯に向き合える人柄です。Fuさんに対しても、弊社社員に求める素質を感じ、オファーを出しました。

羽二生:国籍・性別などのバックグラウンドに関係なく採用することが、創業当時からの採用ポリシーなのですね。当時からすると画期的であり、今でも当たり前の様に実施されていることは、とても先進的です。

言葉が通じない中、唯一の外国籍として過ごした高校時代

羽二生:高校生というと、多感な時期かと思います。どの様な苦労がありましたか?

せつめい

Fu氏 :まず一つは日本語です。全く言葉がわからない状態で来日しました。当時島根県に住んでいましたが、海外からの移住者がほとんどおらず、高校でも初の留学生でした。あまりに珍しかったらしく、地元の新聞にも載ったほどです。(笑)

2つ目は、文化です。特に高校はスポーツ校で全寮制でした。ルールや上下関係がとても厳しい環境でした。言語も文化も、他に選択肢もなく、その環境に適応する他ありませんでしたので、逆に早く慣れることができました。

羽二生:とても前向きに、環境適応されたのですね。学校生活の次は、社会人生活が始まります。どの様なスタートでしたか?

目の前の仕事と向き合うことで、キャリアを拓く

なので

Fu氏 :島根から上京し社会人になる準備をスタートしました。幸いなことに弊社が部屋探しをビジネスとしているため、最初の配属先となった東村山の店舗に相談しすぐに部屋を決めることができました。ただ、山口県と比べると家賃相場が全然違いました。学生時代のアパートは、とても良いところで、2DKで45,000円でした。同じ値段だと、東京では1ルームしか借りることができませんでした。生活水準が下がるので、苦労をしなければいけないなと思いましたが、仕事を頑張れば生活も良くなるだろうと、前向きに捉えていました。

仕事については、ビジネスマナーなど、1から先輩に教えていただきました。また、賃貸についての基礎知識が全くなかったので、業務の流れや法律などを覚えることも大変でした。

羽二生:日本国籍の私でも、賃貸についての知識は専門的すぎて難しいです。本当に努力なさったんだと思います!最初から、外国籍の方のサポートをされていたのでしょうか?

Fu氏 :いえ、実は日本国籍のお客様サポートをしていました。入社してから、他の社員との違いであり強みである中国語を活かしたいと思っていましたが、なかなかチャンスがなく、悩む時期もありました。でも、まずは賃貸・不動産の一般的な接客やサービスの提供を日本国籍のお客様にしっかりお届けできる様になろう。それができれば自然と海外との繋がりもできるのではと、目の前の仕事に一生懸命取り組みました。

羽二生:実際に、海外との繋がりを作ることができましたね。

Fu氏 :はい、チャンスが到来しました。東村山の店舗から、高田馬場の店舗へ異動になりました。当時、高田馬場で外国籍の方が一気に増えた時期でした。
早稲田大学の学生と、入学を狙う学生が増えており、日本語学校も急増し、20校ぐらい一気に増えていた時でした。多くが中国籍の顧客であったことから、もともといた中国国籍の女性スタッフとともに外国籍向けのサービスを高田馬場店で始めることになりました。
声をかけていただいた時は、顔には出さなかったですが、「待ってました!」と大きな声で叫びたくなりました。嬉しかったですね。

渡邉氏:当初は店舗の1サービスでしたが、彼らの丁寧な接客によってお客様がお客様を連れてきていただける様な状態になりました。しっかり業績を伸ばしてくれました。この実績を踏まえ、外国籍の方に向けた専門店を作ることになり、国際センター店を立ち上げました。もちろんFuさんを店長に任命しました。

よこから

同じ苦労をしたからこそできる、細やかなサポート体制

羽二生:素晴らしい!ひたむきな努力が実りましたね。国際センター店は他店と比較するとどの様な特徴があるのでしょうか?

Fu氏:外国籍のお客様専門で対応している点です。対象顧客が他店と異なりますので、対応やサービスが異なります。
我々チームメンバーは、皆日本での留学経験があります。留学中の苦労や、不安を理解しています。だからこそ、お客様にはできるだけ良い環境の住まいに、安心して暮らせる様なサポートをしています。

羽二生:具体的には、お客様からどの様な相談を受けますか?

Fu氏 :主にコミュニケーション面です。日本語学校に通っていたとしても、日本語は完璧ではありません。そのため、部屋を借りるためのやりとりにおけるコミュニケーションで困ることがあります。
例えば、賃貸オーナーさんとのやりとり、深夜の水漏れ、鍵の紛失などの時です。
現在弊社では、24時間見守りサポートサービスを提供していますが、当時はありませんでした。そこで、SNSやメールなどでお客様とスタッフが繋がり、できる限りの相談や対応をしていました。
私の経験上、日本で助けを求めたい時に、求める先がなかったことが一番辛かった。同じ思いをさせたくないことから、可能な限りのお客様に寄り添いサポートしています。

羽二生:日本で苦労をしたからこそ、できるサービスですね。

やさしさ

Fu氏 :はい。一人ひとりに真摯に向き合うことで、次のお客様を安心して紹介していただけます。この連続が、今の国際センター店に繋がっていると思います。

羽二生:対賃貸オーナーとの対応で、他店と異なる部分はありますか?

Fu氏 :オーナーさんには、安心して物件を貸していただくための交渉を行っています。外国籍顧客へ物件を貸すことに、抵抗を感じていらっしゃるオーナーさんも残念ながらいらっしゃいます。申し込み書類をお送りして、拒否をされることもありました。
ただ、よく話を伺うと、最初から外国籍顧客お断りのオーナーさんは意外と少ないです。多くは、一度外国籍の方に部屋を貸したけれど、商習慣の違いからトラブルになり、言葉が通じないことでトラブルを解決できず、嫌になってしまったケースです。

このような場合、オーナーさんに安心していただくため、私たちが入居から退去まで責任を持ち面倒を見ます。実際に通訳に入ったり、定期的に入居者に連絡をとり、トラブルが起きない様話をしたり、退去の際の立会いにも入ったりしています。これは、今も継続しています。

羽二生:なるほど。こちらも地道に信頼関係を構築しているのですね。

Fu氏 :これまでの賃貸オーナーと外国籍入居者のトラブルの多くは、コミュニケーションエラーと文化の違いを伝えられなかったことだと思います。
バイリンガルの外国籍スタッフがいる、国際センター店だからこそできる取り組みです。

全国売り上げ1位の組織を作る

真剣

羽二生:ご自身のバックグラウンドと不動産仲介の知識を生かし、国際センターの初代店長に就任されました。2015年就任当時、どの様な目標を持っていましたか?

Fu氏 :せっかく機会をいただけたので、売り上げNo.1を目指しました。
実際、4年連続全国店舗1位の成績を収めることができました。

羽二生:有言実行ですね!優秀な成績を収めることができた秘訣があれば教えてください。

Fu氏 :顧客が途切れない仕組みと、強いチーム作りです。
上述した様に、お客様へのサポートはどの店舗よりも手厚くしています。
また、外国籍の方特有ではありますが、良いと思ったサービスは、どんどん知人や友人に紹介してくれます。その結果、お客様が途切れることがない。利益を出す状況を作ることができました。

この仕組みを作るために欠かせないのが、最強のチームです。チームが良いからこそ、良いサービスが提供できると思っています。
現在は3店舗ある国際センター店ですが、私にとっては家族です。

羽二生:チームマネジメントのコツはありますか?

Fu氏 :マネジメントの軸を作ることです。
会社の方向性や大切な指針が、一つ一つの店舗へ売り上げ目標として降りてきます。
その理由や背景、達成が個人にもたらすことができる影響や達成の重要性を常に伝えています。
それにより、個々人が納得して、営業活動に取り組むことができます。

軸をぶらさず、一つの目標にみんなで向かうために、まず自らが手本となる行動や営業成績達成をすることにとことんこだわっています。上に立つ人間として、メンバー達が指示を受けても、納得できるリーダーであるべきだからです。

もし、成績が振るわないメンバーがいれば、そのメンバーの営業の様子を私が隣の席で観察し、改善点があればすぐに修正します。メンバーの質を高く維持できる様に努めています。

渡邉氏:国際センター店は、他の店舗よりも格段に成績に対する意識が高いチームです。Fuさんが作り上げたマネジメント手法により、中国籍メンバーで構成されたチームを見事に束ね成果を出しています。お国柄を生かした的確なマネジメント手法なのだと思います。実際に高い成績を出してくれており、社内でも一目置かれる存在で、他店舗への良い刺激になっています。

愚直に、誠実に仕事を続け、さらなる高みを目指す

笑顔パネル越し

羽二生:Fuさんは、御社期待の星である国際センター店を統括するエリアマネージャーまで到達されました。日本でのキャリア形成において、何を大切にされていますか?

Fu氏 :まずは、企業からの期待に全力で応え続けることです。幸い、エイブルは国籍問わずチャンスを与えてくれる企業です。全力で期待に応え続けてきたことで、今の様なポジションやチャレンジできる機会をいただくことができました。
これは、日本企業に勤める外国籍社員にとって、この上ない喜びであると思っています。

私の他に、店長までキャリアアップした(外国籍社員)部下が2名おります。彼らも、自らの得意分野を生かし、企業への期待に全力で応え、成果を上げてきた社員です。彼らの様なメンバーが、これからも育っていくことがとても楽しみです。

もう一つ大切にしていること、最低限のルールを守ることです。
最低限のルールとは、法律であると考えています。
法律を守ることは、不動産仲介業ではとても重要です。良かれと思って取った行動でも、知らぬまに法に触れることもある。そうなってしまうと我々外国籍は母国への強制送還となり、日本に戻ってくることができなくなります。

そのため、国際センター店では全メンバーに対して、宅地建物取引士の資格取得を促しています。現時点で14名中8名が取得しており、来年にはメンバー全員合格の予定です。
法律を守ることは、自分だけでなく、家族や企業を守ることにつながりますので、重要視しています。

羽二生:宅地建物取引士の資格は、日本人でも取得が難しく、合格率15%の難関資格と伺っています。それでも皆さんが真剣に取り組まれる背景をお伺いして納得しました。
エリアマネージャーとなった今、Fuさんが目指すキャリアフライについて教えてください。

Fu氏 :現在コロナウイルスの影響で、外国籍の方が入国できないこともあり、様々計画通りには進んでいません。ただ、状況を見ながら、今後も国際センター店を盛り上げていきたいです。取り組みの一つとして、お客様とのリモート商談を始めました。
これまでも一つになり、成果を出してきたチームです。大変な時期ですがみんなで乗り越えていきたいと思います。

渡邉氏:Fuさんを筆頭に、国際センター店のチームにはとても期待をしています。コロナウイルスの影響がなければ、今頃国際センター店の店舗を増やしているところでした。今後もFuさんには、Fuさんの強みを活かしチャレンジし続けてほしいです。

自分の価値を評価してくれる場所で、評価されるように努力する

なんで

羽二生:ますます、国際センター店に注目ですね!最後に、日本でのキャリアフライを目指す方々へ、メッセージをお願いします。

Fu氏 :日本国内にいらっしゃる方々へ。一度入社した企業では、3年間勤めてください。
3年ほど在籍すれば、仕事のやり方をある程度学ぶことができます。
また、一度入社した企業は、たとえ完璧な条件ではない環境だったとしても、企業の期待に全力で応えてください。それが、自分が目指すキャリアへとつながります。今の仕事で成果を出すことに、集中してください。

まだ母国にいらっしゃる方々へは、大手企業だけを目指しての就職活動はもったいないと伝えたいです。大手企業には、あなたよりも優秀な方がたくさんいます。あなたの能力をしっかりと評価して、期待してくれる企業があれば、その方が良いと思います。
伸び代のある、面白い中小企業もたくさんありますので、幅広く就職先を検討して見てください。

羽二生:目の前の顧客と求められる成果に真剣に向き合い続けることで、CareerFlyをしているFuさんのメッセージによって、多くの外国籍が勇気Fuけられたのではないでしょうか。今後も、Fuさんのご活躍をお祈りしております。

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株式会社エイブル エイブル国際エリア エリアマネージャー兼国際センター店長 Tiange Fu氏(左)とCareerFly 羽二生知美(右)


株式会社エイブル
エイブル国際エリア エリアマネージャー兼国際センター店長
Tiange Fu氏にインタビュー

17歳のときに来日。全寮制の高校へ入学。山口大学へ進学し、新卒でエイブルに入社。国際センター店初代店長として国内外国籍利用者に対するサービス提供を牽引。現在は、3店舗ある国際センター エリアマネージャー兼 店長として、外国籍の方々のお部屋探しをサポートしている。