ちがうこと、それが当たり前

株式会社空色社長インタビュー

サラリーマン時代にPOCから始めた事業が今につながる

CareerFly大野理恵(以下、大野):中嶋さんのこと、たくさんインターネットで検索してみました!京都ご出身でいらっしゃり、NTT西日本へ新卒入社されたのですね。

空色中嶋洋巳氏(以下、中嶋氏):事業開発を担う部署の存在を知り、自分も新規事業開発に携わりたいと強く考えていたのでNTT西日本(以下、NTTという。)へ就職しました。”サラリーマンになりましょう”というよりは、NTTのアセットを使って事業ができるよ、ということが良いなと思い決めました。

大野:とても魅力的なオファーですね!

中嶋氏:そうですね。ただ、最初はフレッツ光の販売をしていました。(笑)アセットを使って事業開発したかったのに!とは思いました。でも、成果を出し続ければ、いつか事業開発の職務にいける可能性があると思い、4年間直営から代理店まで幅広い営業部署において、全力で結果を追いかけていました。幸いにも事業開発の職務を担わせていただけることとなった以降は、様々なベンチャー経営者の方々とお会いする機会があり、協業のご提案をさせていただくなど、ビジネスの立ち上げを学ばさせていただきました。

大野:常に色々考えて行動していらっしゃいますね。いつ起業されたのですか?

中嶋氏:一通り、新規事業を生み出す経験をさせていただいた結果、自分でも挑戦したい!と思い、スタートしました。当時、日本でも若年層を中心にチャットが流行り始めていたことも鑑み、雑誌等で活躍するスタイリストとエンドユーザーを直接繋ぎ、チャットのコミュニケーションを通じて洋服を購入いただくというビジネスで小さくスタートさせました。

大野:順調なスタートでしたか?

中嶋氏:想像以上の購入率と顧客単価に驚きました。コミュニケーションが持つ価値を改めて感じることができました。この事業を通じて得られた経験や関係が今の事業の土台となっています。

日本国籍、外国籍という価値観がそもそもない

大野:中嶋さんは、先のことをプランし、物事を予見しながら、着実に進めていくタイプでいらっしゃるのですね!外国籍人材採用においても、プラン実行して進められたのですか?

中嶋氏:インタビューの趣旨に合うかわからないですが(笑)、もともと外国人と日本人の意識は持っていないんです。国籍なんてどうでもいいというのが根底にあります。

大野:そうですか!

中嶋氏:もちろん日本人と違うのは、ビザプロセスが必要なことや、宗教など特別にケアしなくてはいけないことはあります。

大野:創業何年後に外国籍採用をスタートしましたか?

中嶋氏:2年後の2015年です。社内のエンジニアから提案があり外国籍エンジニアを採用しました。当時は人事担当者がいなかったので自分たちでいろいろ調べながら対応しました。

大野:中嶋さん自らですか?

中嶋氏:はい、まずは徹底して検索です。(笑)分からないことがあれば、直接入管へ問い合わせをしました。親切な職員の方にいろいろ教えていただき大変助かりました。。

大野:すばらしいです!それが自社のノウハウになりますね!

中嶋氏:ただ単に、ビザの申請をやらなくてはいけない状況だったので、やった、というのが正直なところです。事象に向き合って対応した、という表現が正しいでしょうか。

大野:ほんとうに国籍関係なく淡々と採用していく、という感覚をお持ちなのですね。

中嶋氏:人としてちゃんとコミュニケーションがとれ(片言の英語でも通じますし)、ちゃんと真っ当に仕事ができる人だったら、国籍は全く問いません。
さらに人物として面白そうな人でしたら弊社は大歓迎です。

違うことが”普通”である

大野:面白そうな人を採用するという考えは、御社の採用基準になっているように思います。その他どのような採用ポリシーを設けているのですか?

中嶋氏:弊社のコアバリューをお伝えしたら採用ポリシーとリンクすると思います。

1. 違いの承認ができる
2. 変化を前向きに受け止めて、立ち向かえる
3. 全ては自責である *他人のせいにしない

人それぞれ考え方も価値観も違う。お客さんによって同じ業界でも課題やニーズは違う。その違いに寄り添えること。そして、変化に対応できることを大事な考えとして持っています。

大野:とても共感できる考え方です。

中嶋氏:そもそも違って当たり前。違うことに対して、「違う!」という考えを持つのではなく、まずは受け止めてみることができる人が弊社に集まっているのかなと。

大野:みんな違ってみんな良い、ですね!

中嶋氏:むしろすべて同じ方が怖い!エヴァンゲリオンの世界です。(笑)人間が液体化していくそんな感じです。

大野:エヴァンゲリオンってそんな話なのですね。(笑)

中嶋氏:でも本当に同じ人を採用する、というよりは、「個性のある人」を採用していることが多いですね。キャラ採用。当然採用ポリシーがあり、ポリシーに沿った方々が入社してくれていますが、良いキャラを持った人財が結果集まっています。

少し冷たく言うと、勤務時間中にバリューを出してくれていれば、本当にどんなキャラの人でも歓迎です。

コミュニケーションは共通項で通じあえば言葉の壁なんて感じない

中嶋氏:ところで繰り返しになりますが、そもそも今回のテーマが「外国籍」ということなので、本当にインタビューが成り立つかが不安でした!(笑)外国籍と言われても、普段から外国籍としてあまり意識をしていないからです。

中学校で習うレベルの英単語で会話が成り立ってしまうこともわかってますし、言葉の壁も特に感じたことはないです。

大野:先ほどインタビューさせていただいた御社開発エンジニアの方も特にコミュニケーションにおける課題はないとおっしゃってました。

中嶋氏:お酒の席でも、問題なくみんなで盛り上がれます。コミュニケーションをより深くとりたい時はGoogle翻訳の出番です。ツールもちゃんと活用してますよ。

本当に相手が十分に理解するまで伝えたいことがあれば、単語や文章をGoogle翻訳にタイプし、翻訳されたものをみてもらいます。そして、何度も「わかった?」と質問を重ね、理解納得するまでとことんコミュニケーションします。

理解していなさそうな場合は、英語で言ってもらえれば”ある程度”は理解できるので、その”ある程度”もGoogle翻訳を交えながらやりとりすると、ほぼクリアになります。言っていることが互いに半分くらいしか分からなくても、残り半分はGoogle翻訳で補完されます。

大野:やはり、そのようなコミュニケーションの工夫により、相互理解が深まるのですね。

中嶋氏:流石に契約に関連する内容だと、細部にも気を使います。ただ、通常のビジネスコミュニケーションにおいては、上述した方法で十分です。

外国籍だからという特別扱いはしたことない

大野:現在、開発エンジニアの方々を中心に外国籍社員がご在籍ですが、マネジメントにおいて気をつけていることなどありますか?

中嶋氏:外国籍社員だからという区別は一切なく、日本人とかわらないですよ。全ての社員に対するマネジメントは一貫して、「(仕事において)何がしたい?」「何か困りごとはない?」ということを問うたりなどして対応しています。

空色経営企画部池田氏(以下池田氏):今は気に留めていないけど、今後取り組んでいかなくてはならないことはあるかもしれません。

気に留めていないという点で事例を申し上げると、休暇に対する考え方です。弊社外国籍社員が2週間程度の長期休暇をとっても、他の社員が不満をいうことはないです。特に気にしません。「お休みするんだ。行ってらっしゃい。」程度です。他の会社ですと、「長いでしょ。」「業務止まるでしょ。」のように思う方がいる可能性はあります。

大野:確かにそうですね。

池田氏:もう一つコミュニケーション言語に関してですが、日本国籍社員でも英語や多国籍の方に対する親和性ある社員がたまたま在籍しています。そのため、英語でのコミュニケーションへの抵抗感は一切ないということが今の社内環境を作り出していると思います。

今後、敢えて取り組む必要性があることとすれば、「ジェンダー」「宗教」のことかもしれません。

中嶋氏:LGBTの社員は過去在籍してましたよ。そこも彼はオープンにしており、社員も私も含めて知ってました。

大野:そうでしたか!

池田氏:LBGTの方や宗教の関係でハード面を工夫しなくてはならない(お手洗い、お祈り部屋などの配慮)ことは今後でてくるかもしれません。そう言った意味では、今後入社いただくお一人おひとりのニーズや要望に合わせて対応していく必要はあります。

また、他の社員の反応や声も聞きながら対応していかなくてはなりません。受け入れる側の社員一同が「共感」をしてくれるような取り組みや体制作りをしていきたいです。

中嶋氏:その時に直面する課題に対して、一つひとつ粛々と取り組むことしか出来ません。

池田氏:月に一度全社キックオフを実施しており、そこで中嶋から社員に対して今後の方向性や考え方などを伝えています。これまで申し上げた中嶋の考え方は伝わっていると思いますので、既存社員とともにさらに良い企業文化を形成していきたいです。

外国籍社員の比率は2割を保つ、そして成り行きに任せる

大野:話は変わりますが、今後海外への展開はお考えですか?

中嶋氏:はい、考えています。おそらく数年のうちにですね!

進出先はまだ検討中です。いずれにしても、日本だけでビジネスを行っていても成長には限界があります。行きたいというか、行かざるを得なくなるというのが正しいのかもしれません。

あとは、やりたい、という気持ちがあります。シンプルに海外で事業をしてみたいという。

違いの差を楽しむには、海外は凄くいいじゃないですか。文化も宗教も多くのことが違うので楽しめる。やったことないことに挑戦してみたい思いは強いです。

大野:今後の展開が楽しみです!その事業戦略に伴う、人材採用に関して思い描いていることはありますか?

中嶋氏:全体従業員の2割を外国籍社員にする、ということでしょうか。まだ対外的に発信していないことですが。

大野:その2割はどこから来ているのですか?

中嶋氏:ん〜〜〜〜、直感ですかね。

大野:(笑)。今の割合は?

池田氏:5%です。

中嶋氏:元々、外国籍人材を採用できたらいいね、という程度だったのが、事業における外国籍の方々の力が一層必要になってきたこともあり、採用におけるターゲットとしての外国籍人材も意識し始めた、という流れです。

いろんな国籍、年齢の方がいると、わちゃわちゃしてて楽しそうじゃないですか!
2割はある程度意識的に頑張らなくては採用できないと思うので、そこの数値は今後も意識していきたいです。そのあとは、成り行きに任せます。自然体で。環境の変化を先読みし、先行して適応していきます。

大野:現在御社では外国籍の方を含め採用活動をドライブかけていらっしゃいますね!

池田氏:はい、そうです。弊社の事業活動を促進するメンバーを増やすべく採用強化しています。ポジションによっては日本語がネイティブではない方には少し難しい、一方で外国籍の方のほうが良いポジションなどもありますが、それぞれの強みや個性を生かした採用を心がけています。

例えば、多言語AIチャットボットサービスを提供しているのですが、より自然な言語を表現できるのはやはり外国籍の方が向いています。

一方、現在募集している人事ポジションに関しては、日本語力が問われます。そのため外国籍の方でもN1レベルくらいは最低限必要となります。

外国籍社員とともに成長するのはマストである

大野:そろそろインタビューのまとめに入っていきたいと思います。
「外国籍社員とともに成長する」貴社の今後のビジョンを教えてください。

中嶋氏:空色は、”コミニュケーション”という漠然とした領域にドメインを置いています。コミュニケーションはあらゆる目的に置いて使えます。現在はわかりやすい用途を限定し、「経済活動を促進する」という軸に置きました。経済活動とは、物を買ったり、お店にいったり、お金を使う際の何らかの意思決定をすること。その意思決定する際の背景は、国により違いがあると思います。

現在は日本でビジネスをしていますが、今後グローバルにビジネスを広げていこうとすると、海外文化について学ぶ必要があります。その国の人たちのことを理解しないといけません。理解しようと思うと、その国のことを知っている人たちを社内へ巻き込むことは効果的だと考えています。その巻き込んだ方々のことを通じて、マーケットのことも理解できます。本気で挑戦するなら、その国に法人を作る覚悟でやりたいですし、現地法人の代表をその国の方に任せられると最高ですね。ということで、これから海外でも挑戦していきたいはたくさんあるので、

「外国籍社員とともに飛躍するというのは、マストです!」

大野:わ〜〜〜!かっこいいです!素晴らしいです!

中嶋氏:じゃないと(ビジネスが)が成長しないです。
やらないといけないからやっているし、やってて楽しいですし。やらない理由がない。

大野:おっしゃる通りです。

外国籍社員採用についてやらない理由が見あたらない

大野:最後に、外国籍社員の採用を検討している企業経営者の方々へ何かアドバイスをいただけないでしょうか。

中嶋氏:採用しない理由が何かあるのでしょうか。
日本国内だけでビジネスをやり続ける、且つ採用に今後10,20年は困らないと思っているのであれば外国籍人材の採用を行う必要はないと思いますよ。

ただ、日本国内で事業を継続するのであれば、労働人口はどんどん減るわけですから、企業規模を維持・成長させようと思うと、生産性を高めながらもやはり外国籍人材の採用は必須となりますね。

大野:それ以上のことを考えている場合は取り組んだ方が良いですね?

中嶋氏:事業の継続性や海外展開を考えていくと、外国籍人材採用は必ず選択肢として挙がります。労働人口の減少により、採用競争は加熱し競争力の高い会社に人は流れます。この競争に打ち勝てるとは限らない会社は、日本人採用が難しくなるため外国籍採用を避けて通れなくなります。

繰り返しになりますが、私が思うには外国籍人材採用をやらない理由がないと思います。

大野:共感します。

中嶋氏:自分の子供が仕事をするようになった未来のことを考えると、今とは労働意識も働き方も、働く仲間にも大きく変化があると思います。
今の子供たちが社会にでたときは、おそらく外国籍の方々と肩を並べて仕事をすることが当たり前で、翻訳ツールの進化は著しいですが、それでも英語は重要でしょう。自分と違う考え方や価値観の人と仕事ができる環境を少しずつ広げて行きたいですね。

大野:そうですね。次世代へ繋いでいかないとですね。
今日は、貴重なお話を有難うございました!チカラ強いメッセージをいただき、とても心に響きました。

空色池田氏と代表中嶋氏とCareer Fly代表大野理恵
株式会社空色 代表取締役 中嶋洋巳氏にインタビュー
2005年04月 西日本電信電話株式会社入社。新規事業開発部に所属し、コミュニケーションを用いたファッション提案アプリの開発など複数の新規事業開発に従事。 2013年10月 株式会社空色を創業。チャットを軸としたウェブ接客ソリューション「OK SKY」の開発・提供、チャットセンタ−運用受託事業を展開。2016年からAIを活用したチャットボット提供を開始し、AIと人を組み合わせた新たな購買体験の創出に取り組む。