起業して「一人では無理!」と採用活動スタート
大野:2012年2月2日に創業されていますね。”222ゾロ目”ですね。何か思入れがある日だったのですか?
辻川氏:特にないです。(笑)覚えやすということだけです。
大野:創業しようと思ったきっかけは?
辻川氏:大学院のときから、起業することは決めていました。「教育」の分野で新しいサービスを生み出したいということもそのときに決めていました。
大野:明確な目標がおありだったのですね!
辻川氏:前職の同期の友人と事業についてディスカッションしたりもしていました。教育業界のリサーチなども行いながら、30歳になるまでに必ず立ち上げるイメージを描いていました。大学院を終え、P&Gに入社しR&Dチームに配属されました。仕事をすることも初めて、また言語も英語、という環境の下、成果を出すのは大変なこともありましたが、企業に入りビジネスパーソンとしての土台を構築することができました。
大野:そして、30歳で起業。行動されたのですね!
辻川氏:はい。「教育」×「IT」の分野で起業の準備をしました。最初は1人で事業をスタートするつもりだったんですが、しばらく準備を進める中で、1人で起業するのは無理だと感じました。プロダクト作りを1人で進めるのは不可能だと思い、創業仲間を探す活動をスタートしました。
そもそも”国籍縛り”の条件で採用したことはない
大野:最初のメンバーの方はリファラルだったのですね?
辻川氏:友人の友人のエンジニアの方と創業しました。初の自社プロダクトを開発してくれた優秀な方でした。
大野:外国籍の方の採用はいつごろですか?
辻川氏:2013年にベトナム国籍のエンジニアの方が2名来てくれました。彼らは、学生インターン&アルバイトという形態で参画してくれました。また、同じタイミングでアメリカ国籍のエンジニアも1名ジョインしています。
大野:かなり早い段階で国際色豊かなメンバーがいらっしゃったのですね。ちなみに、どのようにリクルーティングを行なっていたのですか?
辻川氏:Wantedlyなどを中心に何社かの求人媒体を活用しました。AISECのインターンサービスを利用したりもしていました。
*様々な媒体やプラットフォームを活用する同社: Wantedly, Bizreach, キャリトレ, Green, Jobins などあらゆる求人媒体/プラットフォームを活用
(良い意味で)キャラの濃い方々が弊社の門を叩いてくれていました。(笑)インターン&アルバイト目的で来ていただく学生さんも、中途のエンジニアの方々もとにかくユニークな方が多かったです。
大野:採用条件に「ユニークな人大募集!」のような記載があったのでしょうか?(笑)
辻川氏:いえ、本当にたまたまなのですが、今も昔も変わらないのは、「優秀なエンジニア募集」ということを謳っていたということくらいでしょうか。
大野:辻川さんご自身が、国際職豊かな職場にいらっしゃったことから、社内言語に対するこだわりはなく、「日本語必須!」要件はなかったことも影響しているのでしょうか?
辻川氏:確かにそうですね。英語でなんとかコミュニケーションできてしまうので、言語に対する条件設定のこだわりは特になかったです。それがユニークな外国籍応募者の母数形成となっていたのかもしれません。
大野:ちなみに媒体掲載するさいに工夫していることはありますか?
辻川氏:ん〜〜。特にないと思うのですが、、。
大野:お仕事の情報を掲載する言語は日本語?英語?
辻川氏:ほとんど日本語ですね。ただ、一つだけ大阪のコワーキングスペースの外国籍人材向け求人ページには英語で書いてますね。外国籍の方がよく見るページなのか、今でもときどき応募があります。
大野:やはり!そうですか。弊社でもデータがありまして、英語で掲載した案件は日本語掲載の最低でも2倍母数を集めることができます。
採用のための様々な方法を継続して活用していらっしゃるので、母数形成が安定的にできているのですね。
地方都市がエンジニア採用の穴場!
大野:その後も外国籍の方を採用されたのですか?
辻川氏:そうですね。会社も山あり谷ありを経験し、人の出入りはありますが、アイルランド出身やフランス出身のエンジニアも入社してくれました。
当時彼らが言っていた弊社にジョインした動機が大変興味深く記憶に残っています。
「大阪には、スタートアップ/ベンチャーがまだ少なく、特に自社サービスを開発しているIT企業が見つからなかった」
そう思っていた矢先、弊社を見つけてくれ応募してくれたようです。
大野:なるほど!”自社プロダクト開発/ベンチャー/大阪”が採用において強みとなったのですね!
辻川氏:今はそこまで珍しいと思わないですが、当時を振り返ると”自社プロダクト開発/ベンチャー/大阪”という切り口では(採用において)競合は少なかったかもしれません。
大野:弊社ITクライアント企業の経営者の方は、地方ではエンジニア採用は厳しいと言ってました!色々切り口を変えれば、まだまだ母数獲得できるかもしれません。
辻川氏:フランス国籍のエンジニアの方がそうだったんですが、パートナーが日本の方で、結婚して日本へ定住しているケースがありました。配偶者の方の影響で日本に来られたスキルの高い(あるいはすでに十分なご経験を保有する)外国籍人材の方々を戦略的に採用するのも良い方法かもしれません。
同じようなパターンで、日本の女性の方を配偶者に持った元Google勤務の外国籍のエンジニアの方なども過去採用過程でお会いしました。
大野:そうなんです!弊社求職者の方にもそのような傾向があります。
なかなか日本へ来る理由がリンクしないな〜〜とカウンセリング時に不思議に思いながら話を進めると、大体日本のガールフレンドや婚約者(配偶者)がいるパターンですね!あるあるです。みなさん本当に優秀で熱心な方が多い!
インターン受け入れから繋がる縁
大野:ところで、現在在籍しているエンジニアの方とはどのようなご縁でしたか?
辻川氏:ベトナム籍のエンジニアが在籍しているのですが、採用のきっかけを遡ってみると、創業直後の学生インターンからの縁があったと言えます。
学生エンジニアとして弊社のインターンシップに参加した彼が、大学卒業後ベトナムの大手オフショア会社に就職しました。それから数年経って、弊社で日本語の学習教材をベトナム向けに展開することになったのですが、たまたま彼と再開し、ベトナムの現地のエンジニアの方とも親しくなり、ベトナム現地からエンジニアの採用を行い、今のメンバーと巡り合うことができました。
大野:一人の縁で色々な手段や方法が増えていきますね!あと、改めて思ったのですが、御社は外国籍人材採用に伴う考えられる方法全てをおやりになられています。このような企業さんにお会いしたのは弊社でも初めてです!(笑)
辻川氏:そうですか!(笑)全てのやり方が成果に結びついたわけではないです。例えば、ベトナム現地で面接会を行った際は内定を1人も出すことができませんでした。ゼロ成果だったことについて、今思えば改善できることが少なからずあったと考えています。面接会に参加するエンジニアの候補者の方々の事前の書類選考を入念に対応した方が良かったこと、また面接会の開催都市も違う都市を選ぶべきだったと反省しています。
大野:タイミングやご縁ということもありますもんね。各国の現地採用にも積極的に参加されており、本当に素晴らしい活動です。
Slackをフル活用する!文章に残す!を徹底
大野:マネジメントはうまくいっていますか?
辻川氏:正直うまくいっているのかはわかりませんが、ワークフローをうまく回すという点では色々試した結果、Slackでのコミュニケーションが機能しています。
大野:以前それをテーマに記事書かれていたのを拝見しました。
辻川氏:文字に残す、図で説明する=可視化する(ドキュメントにする)そして共有するということが文化として定着しています。
日本語を使える社員、使えない社員が混在する中では必要不可欠なフローだと考えています。
私自身、日本語が通じる社員に対しては口頭だけの説明で終えてしまったり、曖昧な表現のままコミュニケーションをとってしまったりと、甘えが出てしまうことを自覚しています。きちんとした文章をアウトプットすることは、全社員に対する円滑なコミュニケーションを実現するために必要と思っています。
大野:弊社の社内ツールもSlackなのですが、運用どのようにされてますか?私自身、反省することも多いのですが、「見逃す」ことってありませんか?
辻川氏:私はないです。(笑)
大野:素晴らしい!運用において辻川さんご自身が気をつけていることは?
辻川氏:「すぐにレスをする」ことは心がけています。
即レスは良し悪しあると思います。作業中に通知が入り、集中力が途切れるなどもあるのですが、とにかく確認したら即レスするのは必ず行っています。
あとは、”どのように伝えればその人によって伝わりやすいのか”を考え、やりとりをするようにしています。相手に応じて文章を調整したり、画像やときには動画やGIFアニメーションを添えたりと、表現を工夫して、ビジュアルも駆使して理解してもらいやすいようにしています。
大野:相手により対応を変えられてますね?
辻川氏:はい、変えています。
弊社は東京と大阪の2拠点で事業を進めていますし、国籍が異なる人もいるので、距離の問題、言語の問題に応じて適宜コミュニケーションの方法を調整しています。
私もそんなに英語が得意でないので、英語で込み入った話をする場合などは、事前に要点をまとめるようにしています。本来なら日本語でやりとりするときも、そうするべきだなと最近は思います。
大野:おっしゃる通りです。
辻川氏:日本語なら流暢に話せてしまう分、準備しなくても相手に伝えることは可能です。ただ、きちんと準備した方がより効果的にコミュニケーションはとれるので、言語に関わらず相手に何かをきちんと伝えたいときは準備を怠ってはいけないなと思います。あと、毎朝朝会をしています。今日やることや昨日やったことを簡単に各自で報告しています。毎週金曜日は少し朝会のやり方を変えていて、日本人はみんな英語で、外国籍社員は日本語を使ってやるようにしてます。
大野:素晴らしい仕組みですね!業務の相互共有と理解、また言語などの研鑽ができるのですね。
外国籍社員を採用を楽しむ、そして良かった!と心から思う
大野:ピープルマネジメントについて、現在どのような状況ですか?
辻川氏:正直、私自身プロダクト開発に注力していることもあり、人をしっかりマネジメントするという視点は抜けているかもしれません。(笑)
大野:どなたがマネジメントしているのですか?(笑)
辻川氏:誰も見てません。(笑)
大野:一人ひとりと距離が近く、関係性ができているから、theマネジメントをすることもない、ということですね。これからもっと人が増えて行く中で、辻川さんの横でマネジメントできる方が今後ジョインされると良いのでしょうね。
辻川氏:そうですね。ぎりぎりまで既存メンバーで対応し、もう人が入らなくては回していけない!という段階であれば、JD(職務業務内容)も固まっていると思います。その段階で雇用したいですね。
大野:採用も活発に行い、事業活動も順調でいらっしゃいます。今後どのようなCareer Flyを遂げるのでしょうか?
辻川氏:「事業を伸ばす」という共通の目標を持ったメンバーが創業当時より集まってきてくれました。国籍や言語も特に自分自身意識したこともなく、同じ目標を持つメンバーが一緒になり事業を推進しています。
大野:最後に、外国籍社員と仕事することの良さはこれ!ということを教えてください。
辻川氏:文化の違い(考え方、言語や食べ物など含め)を聞くことはとても面白いです。また、仕事においては、国籍問わずスキル(力)を発揮できる環境を作ることができれば、組織として大きな強みになると思います。
国の違いなどを楽しみながら、仕組みをしっかり作り、みんなが活躍できる会社を作っていけると思います。
我々も外国籍社員採用と受入に関して今も試行錯誤していますが、日本人だけの会社ではなく外国籍社員を採用して良かった!と思っています。
ぜひ様々な企業でチャレンジしてほしいと思っています。
大野:色々参考になるお話をいただき有難うございました。
Career Fly代表大野理恵とShareWis代表辻川さん
株式会社シェアウィズ
代表取締役 辻川友紀氏にインタビュー
京都大学大学院 生命科学研究科修了。P&Gジャパン株式会社 研究開発本部。 2012年2月に株式会社シェアウィズを設立。社会人向けの学習サービスShareWisを展開。日本e-Learning大賞部門賞、サンフランシスコ開催のSF Japan Night優勝など注目を集める。