数字で見る日本の外国人雇用―厚労省「令和6年外国人雇用実態調査」徹底解説

厚労省「令和6年外国人雇用実態調査」徹底解説

1. はじめに:なぜ、今このレポートに注目すべきなのか?

日本の人口減少と少子高齢化が進む中、外国人材は日本経済にとって不可欠な存在となりつつあります。厚生労働省が発表した「令和6年外国人雇用実態調査の概況」は、2025年8月29日時点の外国人労働者の現状をまとめた最新のレポートです 。この調査は、外国人労働者を雇用する事業所と、実際に働く外国人労働者双方の視点から、その実態を包括的に分析しています。

このレポートを読み解くことで、日本で働く外国人材の現状、企業が抱える課題、そして私たちが今後どのように外国人材と向き合っていくべきか、そのヒントを得ることができます。

*調査客体として抽出された8,877事業所のうち、有効回答を得た3,623事業所及び11,568人について集計したものとなります。雇用保険被保険者5人以上で、かつ、外国人労働者を1人以上雇用している全国の事業所及び当該事業所に雇用されている外国人常用労働者を対象にしています。

2. 数字で見る日本の外国人雇用

(1) 外国人労働者数は過去最高を更新

このレポートによると、外国人労働者の数は約182万人に達し、前年の約160万人から大きく増加しています 。特に多くの外国人労働者が従事しているのは「製造業」で、約56万人と全体の30.7%を占めています 。次いで「サービス業(他に分類されないもの)」(約32万人、17.6%)、「卸売業,小売業」(約19万人、10.6%)、「建設業」(約15万人、8.4%)が続き、これら上位4産業で全体の約3分の2を占める状況は前年と同様です 。
外国人労働者が従事する産業とは

在留資格別に見ると、「専門的・技術的分野」が最も多く約71万人(38.9%)を占めており、次いで「身分に基づくもの」(約50万人、27.6%)、「技能実習」(約37万人、20.2%)となっています 。
外国人在留資格別

(2) 企業は「労働力」としてだけでなく「活躍」も期待

企業が外国人労働者を雇用する理由として、最も多かったのは「労働力不足の解消・緩和のため」69.0%でした 。この結果は、多くの企業が人手不足に直面している現状を浮き彫りにしています。しかし、「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」という理由も54.7%と高く、単なる労働力確保だけでなく、彼らの能力やパフォーマンスに期待を寄せている企業が多いこともわかります 。
企業が外国人労働者を雇用する理由

一方で、外国人労働者の雇用に関する課題として最も多く挙げられたのは「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」(43.9%)でした 。この課題は、円滑な業務遂行だけでなく、職場での人間関係やチームワークにも影響を与える可能性があります。

(3) 外国人労働者のリアルな暮らしとキャリア

  • 賃金・労働時間: 外国人労働者(一般労働者)の「きまって支給する現金給与額」は平均274.9千円で、前年の267.7千円から増加しています 。特に「専門的・技術的分野」の給与額は289.1千円と全体の平均を上回っており、高度なスキルが賃金に反映されていることがうかがえます 。また、勤続年数別にみると、勤続年数が長くなるほど給与額も増加しており、長期的に働くことでキャリアアップが期待できることが示されています 。
  • 入職経路: 日本に居住していた外国人労働者が転職する際、最も多い入職経路は「知人・友人」からの紹介で35.2%でした 。一方、海外から来日する際は「出身国・地域の紹介会社・個人」44.7%と最も多く、専門の機関を通じた来日が多いことがわかります 。
  • 母国への仕送り: 外国人労働者の半数以上(54.8%)が母国の家族などに仕送りをしています 。特に「特定技能」の平均送金額は123.3万円と、全在留資格の中で最も高く、次いで「高度専門職」(118.6万円)、「技術・人文知識・国際業務」(115.3万円)、「技能実習」(106.3万円)と続いています 。彼らが日本で働く大きな動機の一つが、母国の家族の生活を支えることにあることが明確に示されています 。

3. このレポートから見えてくる「未来への提言」

このレポートの数字は、単なるデータではありません。そこには、日本で働く外国人材一人ひとりの「生活」や「キャリア」、そして企業との「関係性」が映し出されています。

外国人材を「労働力」としてだけでなく、その背景にある「家族」や「文化」、そして彼らが日本で実現したい「夢」を理解することが、企業にとっての成功の鍵となります。コミュニケーションの課題解決、キャリアパスの提示、公正な評価と待遇の提供は、外国人材の定着と活躍に不可欠です。

私たちキャリアフライジャパンは、このレポートが示す課題に対し、企業と外国人材の双方をサポートする多様なサービスを提供しています。外国人材の採用、労務管理、そして彼らのキャリア形成を支援することで、企業価値の向上と社会全体の活性化に貢献します。

このレポートから見えてくる日本の外国人雇用の未来について、皆さんはどうお考えですか?

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