canow株式会社 代表取締役 桂城 漢大氏
1995年生まれ。ペルーやスペインなど、海外での生活を経験した後、ブロックチェーンの可能性を感じ、クリプト業界に参画。前職では取締役COOを務め、世界各国のカンファレンスにスピーカーとして精力的に参加。2020年4月canow株式会社を設立し、代表取締役に就任。現在はブロックチェーン分野における日本を代表するインキュベーション企業として、様々なプロジェクトを推進している。
これまでにない社会価値を最先端技術で生み出し変革を!
キャリアフライ株式会社 羽二生知美(以下羽二生):
canow社は、これまでにない未来を実現させるため、最先端技術を用い新しいサービスを生み出し続ける企業です。2018年よりサービスや技術開発を始め、現在では3つのサービスをリリース。サービスごとに事業会社を設立し、「MINE」「Midori DC」「YELLTRON」の3社を分社化しています。
本日は、canowの創業者であり、3社の経営に携わる桂城さんにお話をお伺いします。よろしくお願いいたします。
canow株式会社 代表取締役CEO 桂城 漢大氏(以下桂城氏):よろしくお願いいたします。
羽二生:2020年にインタビューをさせていただいた時から、プロダクトが増え、会社が増え、新しいことにチャレンジされています。今回は改めて、創業背景、ここ2年間の動き、そして今後の展望について詳しくお聞かせください。
桂城氏:事業を始めようとしたきっかけは、数カ国の海外を訪問した実体験が動機となりました。特にペルーの経験は現事業の立ち上げの理由となっています。不平等、社会の歪みを目の当たりにし、それ以来何かしたいと考えていました。
そんなとき、トークン(仮想通貨)、ブロックチェーンの存在に出会い、クリプト業である最初の会社に入社しました。ブロックチェーンを使えば、ピラミッド組織を作らず、新しい組織体を生み出すことができる。新たな技術と発想で仕組みを作ることができると考えました。
社会貢献というと、社会課題を解決することですが、持続可能性が問われることがあります。そこには難しさがあります。NGOやNPOなどの社会貢献団体の場合、活動費用を寄付等で募ることが多いです。そうすると、運営団体がやりたいことより、多額の寄付をした人の意向が汲み取られてしまうことがあります。本当に運営側がやりたいことができず、社会貢献になりにくい。
これらの解決のためにブロックチェーンを活用して、意思決定機関を作らない、ピラミッド式の組織構成を成り立ちを防ぐことを実現します。これまでの組織をブロックチェーンに置き換え、個人が情報を主体的に保有し活用することで、より良い社会を作るための仕組みを作れると考えています。
前職では、トークンという観点から事業を行ないました。社会の仕組みを変え、アイディアを広めていくために事業を作る必要がある、そして2020年にcanowを設立しました。
羽二生:すでに様々な事業を展開されています。
桂城氏:ブロックチェーン技術による事業を展開する一歩として、まず「canow chain」 というブロックチェーンを開発しました。また、データ管理ツールとして「BRIDGE」をリリース。これらのツールを活用しつつ、ヘルスケアアプリケーションの「MINE」、データセンターサービスの「Midori DC」、そしてマーケティングツールの「YELLTRON」をリリースしました。
それぞれ、ブロックチェーンに関連するサービスではあるのですが、業界は異なります。会社として取り組む事業をわかりやすくするため、今は「MINE」「Midori DC」「YELLTRON」の3社を分社化しました。
現在も新しい事業開発に取り組んでおり、今後も事業を作り、分社化していこうと考えています。
羽二生:とても勢いがありますね!資金調達も3.5億円完了されており、追加の大型資金調達にも動かれていると伺っています。また、VCではなく、個人投資家や上場企業から投資を受けていることも特徴的です。創業から2年が経ちますが、この2年間の活動は桂城さんにとってどのような時間でしたか。
技術の本質を見抜き、愚直に取り組むことができるか
桂城氏:良くも悪くも人々の反応の変化を感じました。
2020年、またはそれ以前から、私はブロックチェーン技術を活用して成し遂げたいビジョンを持っていました。それは一貫しており、起業前から全く変わっていません。
今でこそブロックチェーンは注目されている技術ですが、数年前は人に伝えても「何言ってるんだ!」というネガティブな反応をもらうことがほとんどでした。
ほとんどの人に「わからない」「知らない」と言われあしらわれてきました。
ところが、この2年間でブロックチェーンやトークンなどが話題になると、そっけない反応をした方たちが話を聞きたいと連絡をくれるようになりました。社会の素直な反応を感じたように思います。
そんな中でも、2年間コツコツと様々な方にお会いして、やりたいことを伝える中で「面白い」と協力してくださる方々にも恵まれました。信用できる人脈や私から見て一流の方々とのご縁をいただくことができました。
地道に、根気強く伝え、我々の考えを理解いただいた強い後ろ盾のおかげで、今自由に事業を展開できるようになっています。
羽二生:貴社の事業内容はもちろんのこと、事業形態もユニークです。事業をスピンアウトし、すでに4社ある状況で、今後も増やされる予定と伺っています。これについても反発や疑問の声があがったのでしょうか?
桂城氏:ありました。「一人代表でそんなに手広くできるはずがない。」「それはスタートアップではない」などと言われました。
それを受けて、私はチャンスだと感じました。なぜなら誰もできないのであれば、私が成功すれば一人勝ちできると考えました。
ブロックチェーンそれ自体は、インフラなので業界を選びません。だからこそ、ブロックチェーンを軸に様々な事業展開が可能となります。
この2年間、ブロックチェーンが注目を浴びる中、専門家の人数は少ないため、様々な業界の方とお話しさせていただきました。その際に、徹底的にお相手の業界を調べ、ブロックチェーンの可能性をその業界や分野で見いだすことに注力しました。
一つの業界に根ざすのではなく、ブロックチェーンの強みを生かし、業界を超えた企業であり続けることがcanowとしての戦略です。
羽二生:ブロックチェーン技術を軸にしながら、ブロックチェーンやweb3業界に留まらないcanow社ですが、その代表である桂城さんからすると、ブロックチェーン業界の未来をどのように想像しますか?
桂城氏:あと2、3年ぐらいすれば飽きられるのではないかと思っています。
これまでも、トークン、仮想通貨、そしてNFTというように、何度かブームがありました。時とともに飽きられてきたという背景があります。理由は、儲からないからです。
ブロックチェーンという技術は、そもそも情報を分散して管理するものです。
収益を得たいのであれば、中央集権的に情報を扱う方が有効なため、ブロックチェーンは適しません。儲かるだろうと飛びつきビジネスを始めた方々にとっては、がっかりするタイミングが来るのではと思います。もともとアンチ企業の発想から生まれた技術のため、企業目線でのブロックチェーンは廃れていくでしょう。
だからこそ、飽きられないうちに当社のサービスやブロックチェーン基盤を生み出す必要があります。ブロックチェーンが注目されている間に「いいものだ」と社会に理解してもらいたいと考えます。
本来であれば、個人個人が主体性を持つ社会を実現し、対価を正しく得られるという素晴らしい仕組みのはずです。それなのに、資本主義に合わないという理由で廃れてしまうのは、とても勿体無い。
投資家が、まだ可能性をみて投資をしてくれている間に、社会や個人に対して価値を提供できるサービスを生み出し続ける必要があります。
この2、3年が勝負です。タイムリミットに対しての競争です。
それぞれの得意と好きを活かせる組織を作る
羽二生:事業の拡大には、優秀な人材の獲得も必須です。採用の計画はありますか?
桂城氏:弊社は、採用計画を持っていません。その時々の事業の状況や変化に応じて、必要な人に随時参画してもらっています。
canowは、事業ごとに企業を分けています。それぞれ興味がある事業に参画してもらいやすいというメリットがあります。ブロックチェーンの技術に興味がある方だけでなく、それぞれの事業に共感する方とも、積極的にお会いしています。
また、一つの企業に所属しながら、他グループ企業の事業に参加するということも可能です。一人一人が、やりたいことにおいて力を発揮してくれたらと思います。
最近では、スキルややりたいことのほかに、得意なフェーズで人材を配置することも検討しています。事業の立ち上げから事業化するフェーズの「0→1」が得意な方もいれば、事業を拡大するフェーズの「1→10」が得意な方もいる。
一方で、事業は0→1を抜けたら1→10のフェーズに変わります。
0→1が得意な方は、1が出来上がったらまた別の0を1にする事業に関わることで、得意なことを活かすことができます。
会社のフェーズという考えもあります。今は0→1に近い仕事を会社全体で行なっていますが、フェーズが変われば管理部門を含め、きっちりと物事を揃えていくことが重要になるでしょう。
その時々で、必要な方々が力を発揮できるように採用していきます。
羽二生:柔軟性があり、魅力的な組織体です。そんな貴社に入社したい方は多いのではと思います。canowの企業文化にマッチする方の特徴はありますか?
桂城氏:儲けを第一に考えるのではなく、世界を変えることを考えてくれる方です。儲けることなど、目的が自分の利益となると、canowでは合わなくなります。
canowは、ブロックチェーンの特徴である、利益の分配、情報の分散、個人の主体性を本気で考えています。
それをベースに事業を展開している人たちが集まっており、自分軸の方がいるとどうしてもかみ合わなくなります。
また、会社を「所属する場所」「雇ってもらう場所」ではなく「活用する場所・機会」として捉えられる方が多く活躍しています。
会社の事業や方向性に面白みを抱き、ご自身のやりたいことやスキルアップができると感じてくれる方に合うと思います。そして、会社や代表の私を活用してやろう!という前向きな意気込みの方がマッチします。
もちろん、会社として経営している以上、従業員の働きやすさや報酬・インセンティブなどはとても大切です。グローバルで戦う企業として一定の基準を設けています。
ただ、報酬が目的ではなく、それ以外にそれぞれの目標ややりたいことが明確にあると良いです。
弊社では、ディスカッションが活発に行われます。立場関係なく、考えや思いをそれぞれが持ち発言することが一つの企業文化です。
羽二生:ありがとうございます。最後に、今後canowに応募したい方々へメッセージをお願いします。
桂城氏:本気で世界を変えたい、この規模感でチャレンジしたいと思うなら、ぜひ弊社へエントリーください。
勝ち馬に乗るなら早いほうがいい。これまでの2年間で、勝てる土壌はある程度作ってきました。
業界を絞らず、広い視野で社会に必要なことを一緒にやりましょう。
そのハングリーさを発揮できる企業にまだ出会えていないなら、弊社にお越しください。
羽二生:本日は、貴重なお話をありがとうございました。ブロックチェーン技術を利用して世界を変えたい方、事業に興味がある方、ぜひ一度canowに応募してみてはいかがでしょうか。