外国籍社員一人が事業の可能性を広げる

株式会社シンクリンク社長インタビュー

飲食業からデジタル広告へ!見えない課題を見える化できる面白さ

CareerFly羽二生(以下羽二生):今回は、デジタル広告・デジタルマーケティング先駆者のお一人、Synclink社の的場啓年氏に外国籍社員とのキャリアフライについて、インタビューさせていただきます。 
まず初めに、的場さんがキャリアをどのようにスタートされたのかお伺いできますか?

Synclink的場氏(以下的場氏):私は高校卒業してからすぐに、飲食店にてキャリアをスタートしました。その後23歳の時にファウンダーがつき、店長を任せてもらいました。自分の店ではなかったのですが、小さいお店の立ち上げから全てを経験しました。その後26歳で独立して自身のお店を持ちました。

羽二生:飲食店がキャリアの出発点だったのですね!ちなみにどの様なお店だったのですか?

的場氏:割とオーセンティックな感じだったと思います。7メートルぐらいある、アフリカ産の木の一枚板をカウンターに利用したり、水や緑を取り入れてみたり。
シェフも雇ってはいましたが、たまに自分でも食事の提供をしていました。

羽二生:とってもおしゃれなイメージです。そこからどのようにデジタルの世界に入られたのですか?

的場氏:実は、飲食業ってお金がすごくかかるんです。設備投資はまとまった額が必要ですし、その上売り上げは一杯数百円の世界。飲食業だけで儲けるってとても大変だったんです。
そこで、アメリカから衣料品を仕入れられるルートを見つけて、ECでそれを売るという商売を始めました。

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羽二生:どうして、EC事業をスタートされたのですか?

的場氏:当時からデジタルが好きでした。アナログな仕事をしていた割には、(笑)。例えば、毎年ボジョレー・ヌーヴォーが解禁になると、お店の常連さんたちにメルマガを配信したり、当時からエクセルで売り上げを管理したりしていました。
設備投資が少なくて、今あるリソースで売り上げをあげたいと思った時、ECサイトを活用した商売に繋がりました。

羽二生:そうだったのですね。業界が全く違うと思っていたのですが、理由を聞くと納得です!ちなみに、洋服を商品に選んだのはなぜですか?

的場氏:そもそも服が好きだったこともありますが、父が繊維業を営んでいたこともあり、アパレル業界は身近でした。

羽二生:ファッションが好きな的場さんだから、最近移転したオフィスは表参道なのですね。表参道(青山)の気分はいかがですか?

的場氏:純粋にテンションが上がりますね。(笑)

羽二生:なるほど。本日お召しになっているアメリカ国旗デザインのセーターも素敵です!

的場氏:ありがとうございます。そんなこんなでECサイトを運用していましたら、ECが面白くなり、サイバー・コミュニケーションズ社に入社をしました。入社してすぐデジタルマーケティングや広告の業務に関わったというわけではなく、企業のEC運用〜物流、つまりオンラインからオフラインまでを顧客と一緒に進める事業をしていました。実は何年持つか・・・と言われていたような事業でした!そして想定通り事業があまり芳しくなく、広告のチームへ移動しました。結果的にこれが自分の肌にあい、長く続けることができています。

羽二生:どんなところが肌に合っていたのですか?

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的場氏:数字で物事を捉えて考えられるところでしょうか。事業計画とかって、割と数字的には飛型をもってすれば見えてくるものです。目に見えないものを数字を使って見える化(KPIや達成すべきもの)を明確にすることができる、そういった世界観が好きなのかもしれません。

デジタルマーケティングの最前線から外資系を経て起業へ

羽二生:なるほど、見えないものを可視化してコントロールすることができますね。そこから独立まで数年あります。その間は何をされていたのでしょうか?

的場氏:もっとデジタル広告の前線で仕事がしたいと思い、フリークアウトという企業に転職しました。この時期はデジタルマーケティングの過渡期でした。リーマンショックにより金融破綻が次々と起きた時代で、金融機関で働いていた方々が、転職で広告業界に流れ込んできていました。それにより、広告業界に金融工学を組み合わせたDSPというプラットフォームが生まれました。
これまでの広告は、大手広告代理店が切り売りするクローズドなマーケットでしたが、DSPの登場により、デジタルはもっと開かれたマーケットになりました。今後もどんどん成長すると予測ができる状態でしたし、実際にそうなりました。

羽二生:今ではDSPが当たり前の時代になりました。

的場氏:そうですね。実際入社してみると、ただ新しいものだったから売れるというわけでもなく、デジタルなものを営業するためにテレアポなどのアナログな方法で営業もしました。そうこうしているうちに、担当をしていたiProspect Japan社に転職することになりました。

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羽二生:外資系への転職ですね!こちらが初めてのインターナショナル環境となりましたか?

的場氏:そうです。ただ、外国籍社員はいましたが、外資の大手企業のグループ会社とはいえ、外資っぽさとドメスティックさを持つ企業でした。もともと日本にあった企業が買収されたからだと思います。

私は10名強ぐらいの時に会社に入り、最終的に70名ぐらいのチームになるまで同社に在籍していました。最初はシニアメディアプランナーの様なポジションで入社をし、6〜7年後CCOになりました。大手企業を担当することが多く、とても面白かったです。

羽二生:そこからどのようなタイミングで起業を決意されたのですか?

的場氏:今だな、と決めただけです。(笑)時期を考えるとそのタイミングでした。今43歳ですが、もし万が一事業が失敗したとしても、数年後ぐらいであれば、まだ自分はデジタルで食べていける自信がありました。ただ、50歳を過ぎたら、デジタルに関する感覚を考えると、流石に難しいかもしれないとも思っており。そう考えると、先延ばしにせずに今やろう!と思いました。

羽二生:貴社はEC事業に特化したデジタルマーケティングの新モデルの提案をされていますね。
この1年間はいかがでしたか?

的場氏:この8月で1期が終わりました。おかげさまで売上としては目標を達成しましたが、今私が掲げているEC事業者に対するビジネスを100%できているわけではないです。その比率をどこまで高められるかが今後の課題だと思っています。

羽二生:今後もとても楽しみですね!

採用に国籍は問わない!
それぞれの力を発揮させられるマネジメントをする

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羽二生:外国籍人材の採用についてお伺いしていきたいのですが、初めて採用に携わられたのは、CCOを経験されたiProspect Japan社でしょうか?

的場氏:はい。採用も担当していました。その頃から、国籍問わず面接してきました。
この採用についての感覚は、今でも生きていると思います。
そもそも多国籍な環境の会社でしたので、いかに多国籍なメンバーと一緒に働けるか、一人一人の力をいかにして発揮させるか、ということも仕事の一つと認識していました。難しいけれど、大変重要な考えだと思います。

羽二生:外国籍の方々と働く中で、違いを感じることはありましたか?

的場氏:時間に対する感覚や、ワークライフバランスについて価値観は違うかもしれないです。そもそも文化や働き方、姿勢が違います。そのポイント、僕は全く気にならないんですが…。
例えば、私はしっかり仕事を終えていれば、残業なんてしなくていいと思っています。中には外国籍は早く帰るなと思っていたメンバーもいたかもしれませんが、当時私はそういう考えを持つメンバーがいるなどは気づきませんでした。
当時も今もそうですが、みんなが同じ働き方を強要される必要はないと思っています。あくまでお客様がいるので、ビジネスアワーに合わせて欲しいということはありますが、事情があれば相談してくれればリモートでもいいと思いますし。今後も柔軟な企業文化にしていきたいと思っています。

羽二生:広告業界の方、特に数年前までは激務なイメージが強かったので、的場さんが当時から柔軟な考え方をお持ちだったことは意外です。

的場氏:実際激務でしたよ(笑)。毎日3時、4時まで働いている時期もありました。それを推奨するわけではないですが、無駄だったとは思っていないです。集中的にやらなければいけないタイミングを知っていて、それを乗り越えたからこそ、従業員たちに対して仕事の歯止めをかけることができると思っています。

羽二生:なるほど。お話を伺っていると、柔軟な考え方をお持ちだなと感じるのですが、どのように身につけられたのですか?

的場氏:2つ理由があるかもしれません。1つ目は、良くも悪くも経営者思考であるということ。周りの経営者にも話を聞いたことがあるのですが、経営をしていると24時間仕事のことを考えます。常に考えて、いろいろな情報を取り入れているうちに、昨日の考え方が今日変わることだってあるんですね。新しいことがいいと思ったらすぐに取り入れてみる必要があるし、世論や環境が変わればそれに適応していく必要もある。その流れの中で柔軟性、フレキシブルさは身についたかもしれません。
2つ目は、とにかく流れの速い業界にいたことが理由だと思います。昨日とは全然違うことを企業はどんどん仕掛けていきますから、自分が柔軟に対応していかなければ生き残れない環境です。

アイルランド人の採用から広がるビジネスの可能性

羽二生:貴社でも直近、外国籍の方を採用されましたね。

的場氏:そうです。2人目の社員として採用しました。

羽二生:どのような出会いだったのですか?

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的場氏:転職エージェントからの紹介です。もともとはリファラル採用をしたかったのですが、前職からは仲良く仕事もさせてもらっていますし、ご恩を仇で返すような形で引っ張れないし、知り合い周りでもなかなか人が見つからなかった。
でも仕事が忙しくなることはわかっていたので、とても困っていました。そこでダメ元でエージェントに登録したら、なぜかそこのエージェントが外国籍の方を結構紹介してくれまして。
私も全く外国籍の方に拒否反応がないので、台湾や中国籍の方にも採用でお会いしました。その中で、今のアイルランド国籍の社員マキョウに出会い、絶対に一緒に働きたい!と思ったのです。

羽二生:どのような点が合ったのですか?

的場氏:日本人の会話で「間」って重要だと思うのですが、彼はそれがすごく日本人に近いものを持っていました。会話での気配りがすごい人だったんです。こんな人いるんだ!とびっくりしました。

羽二生:顧客折衝の仕事ですから、その部分は重要ですね。

的場氏:はい。前職から、採用プロセスは一緒に働く従業員にも入ってもらうというポリシーなのですが、もう一人のメンバーもぜひ採用したい!となりまして、今に至ります。

羽二生:満場一致でしたね!素晴らしいです。多国籍チームにして、良かったことはありますか?

的場氏:これもいくつかあります。まずは、仕事やプライベートで価値観が変わります。
例えば、先日ラグビーワールドカップがありましたが、アイルランド人が一人いることで、それまで触れることがなかったアイルランドの文化を知ることができました。またアイルランド起点のビジネスをするとしたらどのようにしてみようかなど、考え方を広げることができています。

また、採用や組織づくりの方法も変わってきます。次に採用する日本人の活かし方が変わるのです。

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例えば、マキョウは日本語がとても上手ではありますが、ネイティブレベルではありません。
ビジネス上で、マキョウの日本語の部分を補ってあげたいと、第二新卒の子を4人目で採用しました。彼女は英語ができる人なのに、英語環境で仕事をしたことがなかったので、英語を生かせる場を求めていたのです。
今は二人でコンビを組んで、英語を使うプロジェクトも含め対応してもらっています。なかなか拡張性がある採用ができるようになります。

羽二生:なるほど!外国籍人材を雇うと、第二新卒でも日本語と英語が話せる日本人という新たな採用ターゲットも可能になりますね。

的場氏:そうです。別に外国籍のメンバーが入って、日本語が足かせになるようであれば、それを補える日本人を採用すればいいのです。よくデジタルマーケティングの世界で求められるのが、デジタルができて英語ができる人なんですね。ほぼそんな人、転職市場に出てこないです。
であれば、最初からどちらかができる人を採用して、どちらか教えればいいと思っています。
足りないところは採用してからも補えるし、一人に全てを求めるのではなく、チームで力を発揮できれば良いと考えています。

文化的背景が違うからこそ、深いコミュニケーションは必須

羽二生:とても現実的で効果的な採用手法だと思います。ちなみに、もし外国籍の方と一緒に働くことで難しいことがあるとすれば、どのような点でしょうか?

的場氏:コミュニケーションの質と量でしょうか。国籍関係なく、性格的・文化的背景を理解してあげることはとても必要だと思っていますが、外国籍の方の場合は特に理解しようとする姿勢が必要だと思います。
例えば、マキョウは日本語が得意ですが、ネイティブではないので、ずーっと外国語で仕事をしている状態です。仕事をするだけでも大変ですが、言語の環境を含め情報過多になっている状態だと思います。
なので、考え方やライフスタイルをじっくり聞いてお互いのコミュニケーションを理解した上で、彼の情報や状態を整理してあげる時間をとってあげる必要があります。そうでないと、人としての関係が成り立たなくて、コミュニケーションが成立しないです。
今、バタバタしていて実際十分にできていないのが現状ですが、本来は1on1を週に1度はしてあげる必要があると思います。

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羽二生:コミュニケーションを深くとる、相手を理解して仕事をするということは、国籍関係なく重要なことですが、特にしっかり向き合う必要がありますね。

3つのビジネスを進める上で、最適な人材を採用していく

羽二生:今後の貴社のCareerFlyについてはどのようにお考えですか?

的場氏:今は広告事業が主軸であり、関連する海外のテックツールの代理店事業も行っています。今はその代理店事業をマキョウが担当していますが、そこを今後も拡大していきたいと思っています。海外にも一緒に行き、いいものをどんどん持ってこようと思います。
あとは、自社でもECを運用したいと思っています。デジタル広告・マーケティング事業をお客様に展開しながら、自社のECも成功していたら、お客様に対して説得力があるじゃないですか。

羽二生:確かにそうですね。的場さんの原点でもありますしね!ちなみに何を販売しようとお考えですか?

的場氏:まだ決めていないです!でも洋服以外かな。在庫を抱えるのはリスクなので。

羽二生:なるほど。今後の採用はどのようにお考えですか?

的場氏:国籍にこだわらず、自社のビジネスの方向性に合う方を採用して、最適配置をしていきたいと思っています。

羽二生:こだわらないからこそ、その時々の出会いによる、可能性を広げた採用ができますね!最後に、外国籍採用を今後検討されている企業経営者、人事の方へメッセージをいただけますか?

的場氏:外国籍の方を見ない・触れない・雇わないは、機会ロスです。
日本人だけでビジネスをみる時代ではないですし、どう考えても僕らも海外に出なければいけないタイミングがきます。そのための組織づくりは、進めていく必要があると思います。環境や状況は目まぐるしく変わることは見えていますから。

羽二生:外国籍採用は、未来への投資ですね。今後も日本を含め世界中から素敵なメンバーを集め、CareerFlyされていくことをお祈りしています。ありがとうございました!

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CareerFly 羽二生とSynclink代表的場啓年氏
Synclink 代表取締役 的場啓年氏
高校卒業後しばらくして個人事業主として飲食やECで創業。2008年から電通グループのサイバー・コミュニケーションズでメディアプランナーとして活躍した後、創業間もないフリークアウトに入社。その後iProspect JapanでCCOを経て2018年Synclink社を設立。