採用最前線「リモートインターン」で優秀人材を採る

日本からインド優秀ITエンジニアをリモートインターンで獲得する

コロナ渦により国境を超えた人の往来が困難な中、リーディングカンパニーの新たな取り組みとは? 実際に取り組んだ事例から、柔軟に外国籍人材とCareerFlyできるヒントを聞き出していく。
株式会社Diverta 代表取締役 加藤健太氏へのインタビュー内容をお届けします。
※過去のインタビューはこちらから

Diverta CEO 加藤健太氏

CareerFly株式会社 羽二生知美(以下羽二生):株式会社Diverta代表加藤様にお話をお伺いします。コロナウイルスの影響でインターンシップを見送る企業が多い中、Diverta社ではリモートインターンシップを実施し、インド工科大学(IIT)から優秀人材採用に成功されました。
まず、リモートインターンシップに至った背景についてお聞かせください。

株式会社Diverta 加藤健太氏(以下加藤氏):リモートインターンシップに至った背景は、リモートでしか実施できなかったからです。(笑)
弊社では、新卒を採用する際2ヶ月ほどインターンシップをするようにしています。弊社のインターンシップは、採用試験に近いものです。本来であれば、来日していただきオフィス内でインターンを行っています。ただ、本年はコロナウイルスの影響で実施できませんでした。

今年は、webアプリケーション開発関連のインターンシップ生1名、AI関連のインターンシップ生3名が参加しました。4人ともIIT(インド工科大)の学生です。

羽二生:IITはインドでトップクラスの工科大学です。リモートインターンはどのような経緯で実施を検討されましたか?

加藤氏:実は、来日が叶わないとわかった時、3つの選択肢がありました。

「インターンシップをやめる」、「リモートで行う」、「日本とインドはリモートで、インド現地で合宿方式」という3つです。
結局、インド現地でも集団でいることが難しい状況だったため、個別に自宅からリモートインターンシップを行いました。

羽二生:そこで「インターンシップをやめる」という選択肢を取らないところが、柔軟性の高い御社の企業文化を表していますね。
インターンシップの実施を何度もされている御社ですが、リモートインターンシップにあたりどのような課題を想定されていましたか?

加藤氏:弊社のインターンシップの目的は、仕事をしてもらうのではなく、一緒に働きたいかどうかを確認することです。その適性を、うまく引き出して評価できるかを一番懸念していました。

羽二生:これまでと異なる基準での判断となります。その懸念を払拭するため、どのようなことを工夫されましたか?

加藤氏:一番工夫したことは、コミュニケーションです。一番の課題もコミュニケーションでした。

コミュニケーションがなぜ課題になるかというと、情報を企業側が積極的に取りに行く必要があるからです。もちろん対面で仕事をしていても、コミュニケーションは大切です。ですが、オフィスでインターンシップができる場合、横にいるだけで様々な情報が目に入ります。「集中できていないな?」「調べ物してるのかな?」などです。また、行動傾向もわかります。例えば、考えるときに腕を組んで目の前の問題と向き合い考えるのか、行動しながら考えるのか、などです。

羽二生:当たり前に見えるはずの情報を取りに行く必要があるのですね。情報を取るため具体的にどのような方法を取られましたか?

加藤氏:まず、メンター制度を導入しました。各分野で2名ずつメンターがつき、主にSlack上でコミュニケーションを取るようにしました。メンター同士もSlack上で常にコミュニケーションを取りながらリモートインターンシップを進めました。

2ヶ月間のインターンシップを通じて、報告の回数や形も確立して行きました。普段学校生活において学生は、教授と密に連絡をとるわけではないです。教授と生徒のような感覚で連絡を取るだけでは、どうしてもコミュニケーション量が足りません。
当初は、1週間に1回、成果をレポートすることを決めていました。その後、より状況を把握できる様、朝と夕方の日報も義務付けました。レポートについては、メンターが進め方や、レポートの書き方について指示を出しました。

羽二生:メンターが日々の業務を確認できるようにしたのですね。

加藤氏:メンター同士や、全体でのコミュニケーションは私も目を通しました。、何かあればアドバイスや参考資料の提供などもしました。ただ、私の見えない部分でも、メンターと各インターン生の間でこまめにコミュニケーションは取っていたようです。オンライン飲み会を開催したとも報告もありました。加藤さんが入るとインターン生が緊張するのでと、私は外されてしまいましたが。(笑)

他には、インターン生同士の助け合いやコミュニケーションを促したり、昨年インターンを経験した入社予定者に先輩として参加してもらいました。インターン生にとって歳も近く、インターンを経験した先輩の存在は、メンターにも相談しにくいことも相談できる相手となりました。

羽二生:レポートラインが豊富で、インターン生が気軽にコミュニケーションを取れる体制を作られたのですね。

加藤氏:他に、インターン生それぞれの力を引き出すことも工夫しました。AI関連のインターンシップには3名参加しました。それぞれの専攻の違いから、プロジェクトの進行に差が出ることがありました。進みが早いインターン生は油断し力を抜きがちです。力を出し切るように、促す必要がありました。反対に進みが遅いインターン生には、焦らずに対応するよう伝えました。

羽二生:一人一人への細やかな対応をされていたのですね。リモートインターンシップを経て、インターン生のどのような点を評価されましたか?

加藤氏:適応力・改善力です。まだ学生なので、知識やスキルを求める必要はありません。
こちらからの指摘やアドバイスに対して、どれだけ柔軟に改善ができるかや、適切なタイミングで質問ができるかなどを評価しました。自信を持って全てを評価できたとは言えませんが、少なくともこの適応力や改善力があれば、入社後も柔軟に変化ができるということなので、問題ないと思います。

羽二生:柔軟さ、素直さはとても重要です。その点をリモートインターンシップを通じて評価されたのですね。もし次回リモートインターンシップをするとしたら、どのような点を改善されますか?

加藤氏:「レポートの書き方」「評価される/ 評価されないポイント」などのルールをより詳細に定め、インターン生に伝えてからインターンシップをスタートしたいです。
特に「評価される/ 評価されないポイント」は、具体的に伝えたいです。
例えば「的を得ない質問をするよりも、質問をせずに一人で悩んだ結果、間違えた答えにたどり着く方が評価されない」ことを伝えるなどです。
インド国籍の方は、これまでの経験上、質問をすることに抵抗を感じる傾向があると思います。
そのため、「なんでも質問をしてね」というだけでなく、何を評価する/ しないのかを明確に伝える必要があります。

羽二生:評価に必要な情報をあらかじめ伝えることで、情報を獲得する工数を増やすだけでなく、初めからインターン生からも発信できるようになりますね。
リモートインターンシップの中で、コミュニケーションがとても大切であることを学ばせていただきました。最後に、リモートインターンシップに今後挑戦したい経営者の皆様へ、メッセージをお願いします。

加藤氏:優秀な人材を採用したいのであれば、やらない理由はないのではないでしょうか。
経験上、新卒採用では中途採用よりも優秀な方、特に一流大学に所属する方を採用しやすいと感じています。一流大学からの採用をする際は、インターンシップを実施することが主流です。

通常弊社では、来日・来社でのインターンシップを行なっていますが、コミュニケーション等での工数はリモートインターンシップの方がはるかにかかります。
ただ、それは他社も同じです。Googleも新卒採用やインターンシップでの採用人数を減らしていると聞きました。
インターンシップが他社でキャンセルとなれば、優秀人材を採用する競争率が下がります。

世界的知名度のない企業にとってはチャンスです。
そうであれば、多少大変なことがあっても、リモートインターンシップをやらない理由は、ないと考えます。

羽二生:他社のピンチは自社のチャンスですね。今回内定を獲得されたインターン生が、来年から御社で活躍されることを楽しみにしています。今日はありがとうございました。

Diverta インターン生 Jhalakさんのインタビューはこちら